リスティング広告は、Web広告の中でも少ない費用から取り組みやすいため運用初心者にも向いていると言われています。
これからリスティング広告に取り組もうと考えている方は、メリットやデメリットを理解したうえで運用を検討したいですよね。
ここでは、リスティング広告のメリット・デメリットとともにリスティング広告に向いているケースや費用対効果を上げるポイントを解説しています。
リスティング広告の特徴や効果を理解して、自社に合った手法を選びましょう。
目次
リスティング広告の基礎知識
リスティング広告は、GoogleやYahoo!といった検索エンジンの検索結果画面に表示される広告です。
ユーザーが検索するときは、検索語句に関連した商品やサービスに興味や関心を持っていることが想定されます。そのため、商品購入や問い合わせといった行動に繋がりやすいのが特徴です。
リスティング広告の基本的な仕組み
リスティング広告は検索結果画面に広告が表示されるだけで費用は発生せず、広告がクリックされた回数で広告費用が決まる仕組みとなっています。
実際にかかる広告費用は商材により変動しますが、自社が1クリックあたりの費用を自由に設定可能です。
リスティング広告と他の広告手法の違い
リスティング広告は、年齢や性別など広告を表示させたいユーザーの属性に絞った配信ができます。ターゲットを絞らず幅広い層へ広告を発信する、テレビ・新聞・雑誌・ラジオといったマス広告とは反対の特徴を持っているのです。
また、ディスプレイ広告やSNS広告といったWeb広告は、バナー画像や動画などクリエイティブの作成が必要になります。一方でリスティング広告は、文章で構成された広告のため、クリエイティブを作成する必要がありません。
リスティング広告のメリット
リスティング広告は顕在層に有効な広告であり、導入費用が安価から始められるといったメリットがあります。ここからは、リスティング広告のメリットを10個説明していきます。
メリット | デメリット |
・顕在層のユーザーを狙える
・少額からでも始められる ・短期間で効果を実感しやすい ・細かくターゲティングができる ・コストコントロールが簡単 ・リアルタイムで効果が見える ・配信の開始・停止が柔軟に変更できる ・新しい市場やニッチな市場にも対応 ・A/Bテストが簡単にできる ・テストマーケティングにも使える |
・予算が少ないと成果が得られにくい
・競合他社との競争でコストが高騰する可能性がある ・継続的な運用の手間がかかる ・最適化するためには専門知識が必要 ・認知拡大やブランディングには不向き |
メリット1:顕在層のユーザーを狙える
顕在層は自身の悩みや欲しい結果が明確にあり、それを解決する具体的なサービスや商品を比較検討しているユーザーです。
リスティング広告は顕在層の悩み(検索語句)に関連した広告を表示し、商品購入や問い合わせといった最終目的に繋がりやすいアプローチが可能です。
メリット2:少額からでも始められる
リスティング広告には最低出稿額がなく、予算に合わせて始められます。予算相場は月20〜50万とされています。
テレビCMは100万円程度、雑誌広告は50万~250万円程度の相場、動画広告は外部に依頼すると20万~80万円程度とされています。他の広告媒体と比較すると、導入費用が安価に済むのがメリットです。
メリット3:短期間で効果を実感しやすい
リスティング広告の効果を感じるまでには、平均3〜6カ月とされています。さらに、緊急性の高いサービスやセール商品などは1カ月ほどで効果が出る可能性もあります。仮にSNSやオウンドメディア運用での集客では半年〜1年と時間がかかるため、比較すると短期間で効果を得られるのが特徴です。
弊社の成功事例として、会員登録制のWebサービスの新規事業立ち上げ時にリスティング広告を運用し、目標CPAを120%達成しつつ、事前登録期間(約1カ月)でコンバージョン247件、本リリース(1カ月)でコンバージョン649件の効果が得られました。
メリット4:細かくターゲティングができる
広告を配信する曜日や時間帯、ターゲットユーザーの性別や年齢、住んでいる地域、興味などにあわせて細かくターゲティングができます。
絞って配信することで、コンバージョンが見込みやすい特定のユーザーや商材に関心がありそうなユーザーを効率的に狙いましょう。
メリット5:コストコントロールが簡単
平均予算や上限を設定して、予算範囲内での運用が可能です。Google広告の「1か月の費用の上限」は1カ月に支払う最大額を設定します。上限を超えた額が請求されることはありません。
メリット6:リアルタイムで効果が見える
広告表示回数やクリック回数、コンバージョン数といった広告の成果を、管理画面でリアルタイム確認できます。すぐにデータを確認できるため、運用初心者でも安心して取り組めますよ。
さらに、どれほどの費用でどれほどの成果が得られたのかを把握し、いち早く分析や改善に活かせます。
メリット7:配信の開始・停止が柔軟に変更できる
配信の一時停止や再開が自由に変更できます。もちろん停止中は再開するまで費用が発生しません。一方でマス広告は掲載期間や出稿開始日が決まっている場合もあり、一度出稿したら簡単には変えられません。
配信してみて思ったよりも効果が出なかったら一時停止して改善するといった施策ができるのはメリットでしょう。
メリット8:新しい市場やニッチな市場にも対応
リスティング広告は市場調査にも活用できます。検索されたキーワードやユーザー属性を手掛かりに、ターゲット市場の関心や需要を把握できます。新しい市場のニーズを把握したあとは、ユーザー属性や地域などを絞り込み効率的なアプローチが可能です。
なお、ニッチな市場は検索ボリュームが少ないかもしれませんが、需要のあるところに広告を配信できます。キーワードを絞って配信し、少ない予算で成果を獲得可能です。
メリット9:A/Bテストが簡単にできる
テキストのみで構成される広告のため、広告内容を変更して検証も簡単にできます。
ディスプレイ広告では比較検討に複数の画像や動画の制作が必要なのに対し、リスティング広告はクリエイティブの変更に時間と費用がかからないため有利です。
メリット10:テストマーケティングにも使える
新商品や新サービスの導入前に市場の反応や需要を調査する際にも、リスティング広告が使えます。
テストマーケティングは他の手法としてアンケートやヒアリング、実店舗でテスト販売、モニター調査といった手法がありますが、広告を出すだけで市場の反応を確認でき、効率的にデータを収集できます。
リスティング広告のデメリット
メリットが多いリスティング広告ですが、適切な目的を立てて適切な運用をしないとデメリットもあります。リスティング広告のメリットだけでなくデメリットもしっかり確認しておきましょう。
デメリット1:予算が少ないと成果が得られにくい
少額からでも始められるのはメリットですが、あまり予算が少ないと思った成果が得られない可能性があります。予算を抑えて配信すると、検索結果画面に表示される回数が少なくなるためです。
ユーザーの目に止まらないだけでなく、広告の分析・改善に必要なデータが得られないため、まずはある程度の予算を確保して、広告の効果を検証・最大化するのがよいでしょう。
デメリット2:競合他社との競争でコストが高騰する可能性がある
検索回数が多いキーワードや多くの競合が広告を出稿しているキーワードは、クリック単価が高くなり、コストが高騰する可能性があります。
そこで、競合他社と狙うキーワードをずらしてクリック単価を抑えます。2つ以上のキーワードを組み合せる「複合キーワード」は、ニーズが分散化されてクリック単価が安くなる傾向にあります。自社商材のニーズに合った複合キーワードを狙いましょう。
デメリット3:継続的な運用の手間がかかる
リスティング広告は一度設定すればよいわけではなく、成果を確認し改善していく必要があります。ユーザーのニーズは常に変化しており、同じ広告を配信し続けていても効果が薄れていくためです。
継続的に人的リソースも含めた運用コストがかかることを把握しておいてください。
デメリット4:最適化するためには専門知識が必要
広告の成果を最大化するためには、広告の分析や競合他社の動向調査、広告文のブラッシュアップなどが必要です。
実際の状況に合わせた対応が必要のため、一定以上の専門知識がなければ十分な成果を得られません。
デメリット5:認知拡大やブランディングには不向き
リスティング広告は設定したキーワードが検索されないと表示されません。
商品やサービスを知らないユーザーや興味を持たいないユーザーには広告を出すことが難しいため、認知拡大やブランディングには不向きといわれています。
リスティング広告が効果的なのはどんな時?
リスティング広告のメリットとデメリットを確認したところで、実際にリスティング広告に向いているケースと向いていないケースをご紹介します。
向いているケース | 向いていないケース |
・リピート購入が見込める
・緊急性が高い ・ニーズが明確 ・配信先の絞り込みがしやすい |
・単価が低い
・全くの新サービスや新商品 ・Web上で完結できないサービス |
リスティング広告に向いているケース
リスティング広告に向いているケースは以下の特徴が挙げられます。
リピート率の高い商品やサービス
例:サプリメントや化粧品、ウォーターサーバー、食品配達サービスなど
複数回購入の可能性が高い商材は、初回の購入でクリック単価が高騰したとしても、2回目以降は広告を利用せずに繰り返し購入が見込めるため、結果的に対費用効果が高くなりやすいです。
緊急性の高いジャンル
例:鍵開け、水漏れ、修理、歯科など
ユーザーが今すぐ解決したい問題を抱えて検索している場合は、検索結果画面の上部に表示させることですぐ目に止まりやすく、コンバージョンに繋がりやすいです。これらのジャンルは配信地域の絞り込みとも相性がよいです。
ニーズが明確でキーワードが想定しやすい業界
例:不動産、旅行代理店など
ニーズを連想しやすい業界は、ニーズに合ったキーワードに出稿できるリスティング広告が向いています。
たとえば不動産業界では「品川 マンション」「新宿 一人暮らし」、旅行代理店では「家族旅行 温泉」「ペット 宿」といった具体的なキーワードが想定しやすいです。
絞り込みがしやすいジャンル
配信地域やユーザー属性の絞り込みがしやすいジャンルは、効率的に広告配信できます。
たとえばレンタカー、引越し業者、スポーツジムなどは地域で絞り込み、保険代理店、リフォーム事業人材紹介事業などはユーザー属性(家族構成、年齢など)で絞り込みが効果的でしょう。
リスティング広告に向いていないケース
リスティング広告に向いていないケースも確認しておきましょう。
単価の低いサービス
1個100円の商品など1販売あたりの利益が小さい商品は、利益よりも広告費用がかかってしまい、リスティング広告には向いていません。
ただし、目玉商品として顧客を獲得するのが目的であれば有効な場合もあります。
検索されにくい新しいジャンル
全くの新サービス・新商品で、商材が属するカテゴリや検索されそうなキーワードも想定できないケースは、リスティング広告には不向きです。
受動的なユーザーにも視覚的にアプローチできるディスプレイ広告を検討するとよいでしょう。
Web上で完結できないサービス
飲食店など実店舗への来店を最終目的とする業界は、Web上で費用対効果が見えないためリスティング広告は不向きです。
もしリスティング広告で運用する場合は、店舗情報ページまでの到達数といったWeb上での目的を設定します。マス広告、SEOやオウンドメディア運用、メールマガジン配信、プレスリリース、チラシやDMなどを検討してください。
リスティング広告の費用対効果をさらに上げるコツ
リスティング広告の費用対効果を上げるコツを4つご紹介します。
1. 配信前にリスティング広告の目標を明確にする
まずはリスティング広告の目標を明確にし、目的に合わせて効果的に配信しましょう。商品やサービスの購入を促進したいのか、サイトへの訪問数を増やしたいのか、目標によって設定すべき内容が変わってきます。
2. ターゲティングとキーワード戦略の最適化
配信対象の絞り込みやキーワードの選定は、費用を抑えて狙ったユーザーに広告を配信するのに効果的です。
広告を表示させたくないキーワードに対して「除外キーワード」の設定や、キーワードの一致率をどの程度まで許容するかを決める「マッチタイプ」の設定をしてください。
3. 予算設定は柔軟に
広告の一時停止や再開が自由にできます。そこで、広告効果が悪い場合に配信を一時停止する撤退ラインを決めておきます。
逆に、好調な場合は増額するなど予算をあらかじめ柔軟に設定しておきましょう。
4. ランディングページの改善
配信設定や広告文の改善だけでなく、ランディングページ(LP)の改善も重要です。
キーワードと関連性の高いページであるか、内容はわかりやすいか、読みづらい部分はないか見直してみてください。
Google広告とYahoo!広告、どちらに出稿するべき?
リスティング広告を出稿する際は、代表的な検索エンジンであるGoogleとYahoo!どちらかへの出稿を検討すると思います。
ここからは、Google広告のメリット、Yahoo!広告のメリットそれぞれを比較して、各媒体のおすすめの商材や活用方法を解説します。
Google広告とYahoo!広告の比較
Google広告とYahoo!広告の大きな違いは、検索エンジンを利用するユーザー層の違いです。
ターゲットになりそうなユーザーがどちらの媒体を利用しているかで、出稿先を検討しましょう。
Google広告 | Yahoo!広告 | |
検索エンジンのユーザー層 | 10代~20代の若年層 | 40代~60代のミドル層 |
性別 | Yahoo!と比べて男性の利用者が多い | 男女ほぼ同じ割合 |
検索媒体 | スマートフォンユーザーが多い | PCユーザーが多い |
職業 | 会社勤務や経営者、フリーランスが多い | 専業主婦(主夫)、定年退職者が多い |
配信先 | Googleの検索結果画面
Google のその他のサイト:Google マップ、Google ショッピングなど 提携サイト: BIGLOBE goo livedoor nifty Rakuten Infoseek 価格.com AllAbout OCN |
Yahoo!の検索結果画面
提携サイト: excite Microsoft Bing Sleipnir vector |
広告表示オプション | 住所
電話番号 サイトリンク コールアウト 構造化スニペット 価格 アプリ リードフォーム |
クイックリンク
電話番号 テキスト補足 カテゴリ補足 |
ターゲティング | オーディエンス(ユーザーの属性、興味や関心、習慣、積極的に調べている内容、リターゲティング)
コンテンツ(トピック、ブレースメント、キーワード) 地域 デバイス 曜日・時間帯 |
リターゲティング
デバイス 地域 曜日・時間帯 |
Googleユーザーはビジネスマンやスマホ利用の若者の利用が多く、Yahoo!ユーザーはミドル・シニア層のPCユーザーが多いのが特徴です。
Google広告がおすすめの場合
検索エンジンのシェア率が国内外ともに1位で、多くのユーザーに広告を配信できるため、悩んだときはまずはGoogle広告を検討するとよいでしょう。特にスマホユーザーをターゲットに、アプリのプロモーションやスマホ商材との相性がよいです。
また、Yahoo!広告と比べて若年層のユーザーが多いため、美容、ファッション、エンタメなど年齢層の若いターゲットに配信したい業界が向いています。
Yahoo!広告がおすすめの場合
高年齢層のユーザーにもアプローチしたい場合はYahoo!広告がおすすめです。健康、医療、介護、住宅といったシニア向け商材と相性がよいです。
また、Google広告と比べてPCユーザーが多いのも特徴です。BtoB企業はパソコンを扱うユーザーが多い傾向にあるため、Yahoo!広告はBtoB商材に向いています。
リスティング広告とSEOはどちらの方がよい?
リスティング広告と検討されやすい施策として、SEOとの違いやメリットを比較しておきましょう。
リスティング広告とSEOの比較
リスティング広告 | SEO | |
即効性 | 高い | 低い |
掲載場所 | 検索結果上部 | リスティング広告の下 |
費用 | 有料 | 無料(記事制作コストなどは発生) |
ターゲットの絞り込み | 可能 | 不可能 |
効果の継続性 | 低い | 高い |
リスティング広告の広告枠はSEOより上部に表示されるため、ユーザーの目に止まりやすいです。しかし、リスティング広告を表示させるには広告費が必要です。一方SEOは、上位表示ができれば費用をかけずにユーザーに届けられます。
優劣はないため求める効果によって選ぶ
リスティング広告とSEOはそれぞれにメリットがあり、必ずしもどちらが有利とは言えません。短期的にはリスティング広告の方が高い費用対効果を期待でき、長期的にはSEOの方が費用面でも有利と考えるとよいでしょう。
すぐに効果を出したいのか、どれほど予算やリソースを使えるのかといった状況に応じて選択してください。
即効性を求めるならリスティング広告
スタートしたばかりのサービスや、期限がある商材など、即効性を重視したい場合はリスティング広告に取り組みましょう。
また、脱毛サロン、健康食品、通販といったサービスはすでに他社がSEOに力を入れており、今から参入してもなかなか上位表示は難しいです。こういった商材はリスティング広告に取り組むと効果が得られやすいでしょう。
<リスティング広告が有効なケース>
・指名キーワードで流入を確保したい場合:社名やサービス名、商品名などの固有の名称 |
中長期で安定した成果を求めるならSEO
リスティング広告は即効性がありますが、掲載し続けるには費用が発生し続け、停止すると全く成果が得られません。
そこで、中長期的に安定して成果を獲得し続けたい場合はSEOを検討しましょう。SEOは一度施策を行えば効果を発揮し続けます。
<SEOが有効なケース>
・検討期間が長い場合:評判や口コミといった情報を繰り返し検索して検討される高額商材やBtoB向けの商材、商品やサービスの選択肢が多い場合 |
デメリットをカバーするなら運用代行も検討
本記事で紹介したように、リスティング広告は正しく運用すれば多くのメリットがある広告です。メリットとデメリットを理解したうえで、デメリットをカバーして運用するためには、広告代理店に運用を依頼するケースも主流となっています。
依頼には手数料が発生する問題はありますが、自社の人員を広告運用に使うことなく、自社の業務にリソースを集中できるのもメリットです。
自社の広告予算や人員体制、取り扱い商材などに応じて、自社で運用すべきか広告代理店に依頼すべきか検討してみてください。
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<診断例> ・キャンペーン設計 ・ターゲティング設計(リスティングKW含む) ・計測タグ設計(※Googleタグマネージャー経由のみ) |
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