リスティング広告は、ニーズが顕在化しているユーザーに広告を配信できるので、即効性がありコンバージョン率が高いWeb広告の一種です。
しかし初心者の方の中には「リスティング広告でどのくらいの効果が出せるか不安」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、リスティング広告で費用対効果を上げる手法を詳しく解説します。さらに早期に結果が出ない場合の改善策や失敗例なども紹介していますので、ぜひお役立てください。
目次
初めてのリスティング広告でも効果は出る?
リスティング広告は運用が初めてかどうかに関わらず、配信の仕方次第で十分に効果を得ることが可能です。まずはリスティング広告のメリットについてご紹介します。
リスティング広告のメリット
意欲が高い見込み客に的確にアプローチできる
リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに応じて検索エンジンの検索結果に表示されます。既にニーズが顕在化しているユーザーにアプローチできるため、他の広告と比べて効率よくサイトへの流入やコンバージョン獲得が可能です。
またキーワードの他にも広告を配信する地域を設定することで、さらに的確な広告配信が可能になります。
競争が少ないニッチな市場にも対応できる
「自社が扱っている商材はごく一部の人しか使わないので、リスティング広告をしても効果がないのでは」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
結論から言えば、特定のニーズに応えるようなニッチな市場にもリスティング広告は効果を発揮します。ニーズを持つユーザーがどのようなキーワードで検索しているのか、その解像度を上げていくことで、機会損失を防ぎ新たな顧客を獲得することができるでしょう。
結果をリアルタイムで確認できる
リスティング広告ではクリック数やクリック単価、コンバージョン数などの結果をリアルタイムで確認できます。
状況に応じて予算調整や広告の修正ができ、管理画面での設定はすぐに反映されるため、初心者の方でも安心して始められます。
成果が出るまでの期間は3ヶ月が目安
リスティング広告で成果が出るまでの期間は、3ヶ月から6ヶ月程度と言われています。早ければ1ヶ月目からコンバージョンが獲得できるケースもあり、比較的早く成果が感じられる広告手法です。ただし予算やクリック単価などによって変動するので、あくまで目安としてください。
▼弊社の事例
・女性向けアパレルECサイトのリスティング広告実績
コスト | 表示回数 | クリック数 | CV | CPA | |
1ヶ月 | ¥150,468 | 23,314 | 1,016 | 15 | ¥10,031 |
2ヶ月 | ¥154,050 | 52,291 | 2,224 | 19 | ¥8,108 |
3ヶ月 | ¥165,050 | 55,458 | 2357 | 22 | ¥7,502 |
実際に3ヵ月目からは表示回数も増え、毎月コンバージョンも増加しています。
効果が出やすいリスティング広告の特徴
冒頭にもお話した通り、リスティング広告はWeb広告の中でも即効性がありコンバージョン率が高い広告ですが、そのなかでも特に効果が出やすい商材の特徴があります。
リスティング広告の効果が出やすいパターン
リスティング広告の効果が出やすい商材の特徴として
- 購入意欲を持つユーザーが多い
- 即時利用や予約が可能
- 客単価と粗利が高い
- 緊急性が高い
- リピート率が高い
が挙げられます。それぞれ具体的になぜ効果が出やすいのか、解説していきます。
購入意欲を持つユーザーが多い
購入意欲を持つユーザーの多さは、すなわち検索ボリュームにも結びつきます。
検索ボリュームが大きいキーワードは、その分広告が表示されユーザーの目に入る機会が多いということになるため、リスティング広告の効果を発揮しやすいと言えるでしょう。
即時利用や予約が可能
例えば「歯医者+地域名」「レンタカー+地域名」といったキーワードで検索しているようなユーザーは、すぐに利用できる店舗を探しているケースがほとんどです。
そういった即時利用や予約のニーズが高いサービスは、検索結果で上位に表示することでコンバージョンが獲得しやすくなります。
客単価と粗利が高い
客単価と粗利が高い不動産販売などの業種の場合、広告費よりも利益がプラスになる可能性が高くなります。客単価が高い分広告予算を確保しやすいため、リスティング広告で効果を出しやすいと言えるでしょう。
緊急性が高い
水のトラブルや鍵の紛失といった緊急性が高いニーズを持つユーザーは、検討時間が短く購入を即決しやすい傾向にあります。そのため、リスティング広告で検索結果の上位に表示させておくことで、よりコンバージョンを獲得しやすくなります。
ただし商材によっては競合も多いので、クリック単価を高く設定しなければならないケースもあるかもしれません。
リピート率が高い
定期購入やサブスクリプションといったリピート率の高い商材の場合、継続して購入されることで最終的な費用対効果を上げやすくなるため、リスティング広告との親和性が高いと言えます。
効果が期待できる業界例
次に、効果が期待できる具体的な業界例をご紹介します。
通販業界
Amazonや楽天市場などのECモールと比較すると、自社のECサイトはなかなかユーザーの目に留まりにくいという課題をもつ企業もいるのではないでしょうか。
リスティング広告を活用することで、欲しい商品名やジャンルなどで検索している購入意欲が高いユーザーを集客しやすくなります。
美容・クリニックなどのサービス業
美容・クリニックなどのサービス業では、自院の周辺地域に住んでいるターゲットユーザーに絞って配信することが効果的です。例えば「美容室+地域名」「皮膚科+地域名」といったキーワードで広告を出稿しておけば、既に顕在ニーズがあるユーザーに対して効果的にアプローチすることができるでしょう。
またその他にも「シミ 気になる」「歯の黄ばみ 落とし方」といったユーザーのお悩みキーワードにも配信しておくことで、潜在ニーズがあり購入する可能性が高いユーザーにも自社のサービスを認知させることができます。
教育・スクール業界
美容・クリニックなどのサービス業同様、特定のニーズに合わせたユーザーの集客が見込めるため、教育・スクール業界にもリスティング広告は効果が期待できます。
また、教育・スクール業界はリピートされることで客単価・粗利が高くなりますので、リスティング広告との親和性が高いでしょう。
効果が出にくい業界例
ここからは、リスティング広告で効果が出にくい業界についてもご紹介します。
検索エンジンで検索される数が少ない業界
リスティング広告は、そもそもの検索数が少ないと成果に結びつきづらくなります。例えば一部の業種のみで使われる製品や特殊な高級品、高度に専門化された商品などはリスティング広告には不向きかもしれません。
長期的なブランディングが必要な業界
リスティング広告はあくまで短期的な成果を狙うのに適しており、長期的なブランド認知やイメージ形成には適していません。
長期的にブランド認知を行いながら検索結果でも上位に表示させるには、リスティング広告の他にコンテンツマーケティングやSNS運用を検討するのがよいでしょう。
初心者でもリスティング広告で費用対効果を上げるコツ
広告配信前のリサーチと設計が重要
リスティング広告で費用対効果を上げるには、広告配信前のリサーチと設計が何よりも重要になります。以下では、そのリサーチと設計について詳しくご説明します。
目標設定とターゲットの明確化
まずは、広告配信の目標を明確にしておきましょう。
広告配信の目標例としては
- 商品の購入
- お問い合わせ
- 予約
- 資料請求
などが挙げられます。広告を配信する目的を明確にしておくことで、その後の効果測定も効率よく行えます。
次に重要なのが、ターゲットの明確化です。
- なぜターゲットはこのキーワードで検索するのか
- ターゲットの本質的な課題は何か
- ターゲットはどのようなものを欲しいと思っているのか
- ターゲットに対して自社が提供できる価値は何か
を理解できていなければなりません。ターゲットを明確化できていないと、成果につながらないユーザーにも配信してしまうことになります。目標設定と合わせて、必ず検討しておきましょう。
キーワードリサーチの重要性
リスティング広告で費用対効果を上げるためには、綿密なキーワードリサーチが必要不可欠です。コンバージョンの見込みが高いキーワードを漏れなく設定することは、広告の成功に直結します。
まずは軸となるキーワードを決めて、それに掛け合わせるキーワードをいくつか決めてみましょう。
軸キーワードの例 | 掛け合わせるキーワード |
洗濯機 | ドラム式、一人暮らし、乾燥機つき 等 |
掛け合わせるキーワードに迷った場合、キーワード選定に役立つツールを活用するのがおすすめです。
ラッコキーワードでは、軸キーワードと一緒に検索されるキーワードにはどんなものがあるかを調べることができます。
さらにGoogleのキーワードプランナーでは、調べたいキーワードの
- 月間平均検索ボリューム
- 競合性
- ページ上部に掲載された広告の入札単価(低額帯)
などを調べることが可能です。
競合性が高いキーワードは、ライバルとなるサイトが多いことを指します。競合性が高いとその分上位表示が難しくなりますので、複数の単語を組み合わせたロングテールキーワードを狙うといった策を講じると良いでしょう。
例えば「洗濯機 おすすめ」よりも「洗濯機 一人暮らし おすすめ」といったキーワードにした方が、よりユーザーの検索意図がはっきりしています。その検索意図に自社の商材がマッチすれば、コンバージョン率が上がりやすくなります。
広告文作成のポイント
リスティング広告では、ユーザー1人ひとりのニーズに合わせて自動で最適な組み合わせの広告文を表示します。機械学習の精度を高め広告のパフォーマンスを最適化するためにも、広告見出しや説明文などはなるべく多く設定しておきましょう。
また、ユーザーは広告文を見てクリックするかどうかを判断するため、簡潔に商品の魅力を伝えることが大切です。ユーザーが魅力に感じる自社独自の価値やメリットを分かりやすく明示しましょう。
「送料無料」や「全商品最大50%オフ」など期間限定のセール情報を入れておくのも効果的です。さらにサイトリンクや構造化スペニットといった広告表示オプションはできる限り活用しましょう。これらのオプションを追加することで検索結果で広告の表示面積を広げることができ、クリック率の向上に繋がります。
また広告見出しの作成に、ChatGPTを活用することもできます。広告見出しの案が思いつかないときにはぜひ活用してみてください。
以下おすすめなChatGPTへの質問・指示内容です。
前提条件としてWebマーケター、コピーライターである旨を伝える ※専門知識の高い人物に依頼したい旨を伝えるとAIがより洗練された返答を意識するようになります。
最後には、フィードバックループを指示しましょう。指定した条件が守れているか、AIが振り返りを行います。 |
ChatGPTは指示内容を詳細に書けば書くほど高精度の返答が返ってきます。もし自分以外の視点からアイデアが欲しい場合には活用してみてください。
広告予算の効率的な使い方
低予算でも効果を高めるためにできる最も簡単な施策として、配信先の地域や時間帯の絞り込みが挙げられます。
商圏に適した地域や時間帯に配信を絞り込むことで、広告予算を効率的に使いながら費用対効果を上げることが可能です。複数パターンでどの広告が効果があるか試してみたい場合は、広告キャンペーンや広告グループごとに予算を分配し、最も効果が高いグループにのみ予算を集中させるという方法もあります。
さらに無駄なクリックを防ぐために、自社の商材とは関係のない検索語句で広告が配信されていた場合は、そのキーワードの除外設定をすることをおすすめします。
効果測定と改善サイクルを確立させる
リスティング広告は出稿して終わりではなく、あらかじめ決めておいた期間が経過したら、データに基づいてPDCAサイクルを回していきましょう。データ取得するだけではなく、課題に対する改善策を洗い出していき、繰り返し施策を行っていくことが重要です。
効果測定と改善を行うタイミング
Googleでは主に「スマート自動入札」と「スマート広告」といった2種類の機械学習で、広告運用に必要なデータをAIが分析・学習を行っています。Google広告の学習期間は通常2~3週間ですので、なるべくこの学習期間が終わるまでは設定を変更しない方がよいでしょう。
また分析する項目にもよりますが、効果測定と改善を行う間隔として情報量を蓄積するために1ヵ月程度は様子を見ることをおすすめします。
チェックするべき指標
リスティング広告で最低限チェックするべき指標として、以下が挙げられます。
CTR(クリック率) | 広告が表示された中でクリックに繋がった割合
広告が表示されているにも関わらずCTRが低い場合は、ユーザーのニーズを捉えた広告になっていない可能性がありますので、再度広告の見出しや説明文などを見直してみましょう。 |
CPC(クリック単価) | 1クリックごとにかかる広告費用
CPCを下げたい場合は、上限クリック単価の調整や、広告の品質を高めていく必要があります。
要は広告とLPを通じてユーザーがストレスなくコンバージョンまで至れるかどうかが判断の基準となります。 |
CVR(コンバージョン率) | 実際に購入などユーザーが起こしてほしいコンバージョンに至った割合
CVRに課題がある場合は、ユーザーの検索語句と関係が深いLPになっているか、操作がしやすいLPであるかを確認し、コンバージョンしやすい導線づくりを行うことが必要です。 |
CPA(顧客獲得単価) | 1件のコンバージョン(CV)を獲得するためにかかった費用
自社の商材に対して適切な獲得単価になっているかチェックしておきましょう。 |
早期に結果が出ない場合の改善策
リスティング広告はすぐに結果が見えるところがメリットですが、思うような結果が出ないという時期もあるかもしれません。以下では、早期に結果が出ない場合の改善策をご紹介します。
ターゲティングとキーワードの見直し
先述しましたが、広告の配信にはターゲットの明確化が必要不可欠です。もしターゲットや商材そのものへの理解が足りていない場合は、ヒアリングをして理解を深めるのも良いでしょう。
- なぜターゲットはこのキーワードで検索するのか
- ターゲットの本質的な課題は何か
- ターゲットはどのようなものを欲しいと思っているのか
- 自社商材の強みや弱み
- ターゲットに対して自社が提供できる価値は何か
- 競合と比較して自社が選ばれる理由
などをターゲットに近い人物や商材をよく知る人物に尋ねてみるのもおすすめです。
またその他にもターゲティングについて、下記のようなポイントを確認してみると良いでしょう。
- スマホでの成約率が高い商材にも関わらず、その他のデバイスに広告配信が偏っていないか
- 狙った時間帯で配信がされているか、日中の早い時間帯で日予算を使い切っていないか
- 店舗から遠いエリアに配信が偏っていないか
そして上位表示させたいと思っているキーワードを実際に検索して、競合のサイトを確認してみるのも良いでしょう。検索結果の上位に入っているサイトは、それだけユーザーのニーズを捉えているサイトということになります。
自社広告やLPと比較して、足りないキーワードや文章がないか確認してみることも、リスティング広告で結果を出すために必要な要素です。
A/Bテストを取り入れる
A/Bテストでは、広告の一部の要素を変えて複数パターンを同時に出稿し、どちらがより効果的かを比較することができます。
結果が最もよかった方を採用できるため、改善策に悩んでいる場合は、広告文や最終ページのURL(LP)を変えるなどしてテストしてみるのが良いでしょう。
広告文とランディングページの関連性
リスティング広告では広告設定だけでなく、LPとの関連性も重要になります。
ユーザーの検索語句と関係が深いLPになっているか、操作がしやすいLPになっていますか?必要であればLPのリニューアルも検討してみましょう。
初心者が陥りがちなミスと対策
配信地域や時間帯の見落とし
配信する地域の設定を見落とすと、都道府県を指定して配信したい広告を日本全国に配信してしまう場合があります。また時間帯についても同様で、指定したい時間帯以外にも配信してしまうと意図せず予算が無駄に使われてしまうことになり、期待していた効果が得られにくくなります。
設定完了後には、なるべく2人以上で二次確認を行うことをおすすめします。
日予算設定の誤り
リスティング広告では、1日あたりの日予算を設定して予算を管理しています。全体予算を配信日数で割った金額が誤っていないか、確認を怠らないようにしましょう。
配信しない日がある場合はその日数が除かれているか、1ヶ月の日数が誤っていないかも必ず確認しましょう。
タグが正しく設定できていない
コンバージョンが正しく正しく計測できていない場合、コンバージョンタグの設置に失敗している可能性があります。
間違って別のアカウントのタグを貼り付けていないか、タグの入力漏れはないか、Googleタグマネージャーで設定した場合は公開設定まできちんとできているか、細かく確認してみましょう。
事前のリサーチ不足
競合調査や自社の戦略が足りないと適切な設定ができず、費用対効果が改善されないケースも少なくありません。
先述したように、目標とターゲットの明確化からコンバージョンの見込みが高いキーワードの選定まで、徹底的に行いましょう。
効果が出るか不安な人へのアドバイス
リスティング広告が不安でも試してみるべき理由
これまでご説明してきた通り、リスティング広告は費用調整が柔軟にでき、リアルタイムで結果を確認できるので、増額や撤退もすぐに対応できます。そのため、初心者でも始めるリスクが少ないと言えるでしょう。
無理のない予算から始めることができますので、まずは気負わずに試してみるのがおすすめです。
他の広告手法と比べてリスティング広告の効果はどう違う?
近年様々なSNSが誕生していますが、基本的に認知拡大に効果を発揮するSNS広告では、リスティング広告と比べるとコンバージョン率が低い傾向にあります。
リスティング広告の最大のメリットは、すでに顕在ニーズがあり購買意欲が高い見込み客に的確にアプローチできコンバージョン率が高いという点です。つまり、他の広告手法よりも効果が得られやすいWeb広告と言えます。
初心者でも結果を出すために必要なサポート体制
最後に、日々の運用は難しいと感じる方のために活用できるツールや設定について、ご紹介します。
自分で運用する場合のおすすめツール・設定
【自動入札機能の活用】
自動入札とは、選択した目標に応じて自動で入札単価が設定され、配信を調節してくれる機能のことです。
この機能を活用すれば、特定のキーワードの入札単価を手動で更新する必要はなく、手間のかかる作業をGoogleの機械学習に任せることができます。
【Google広告エディタの活用】
Google 広告エディタは、無料であらゆる規模の広告主が利用できます。特に、複数のキャンペーンで大量のキーワードや広告を設定している場合に役立ちます。
例えば
- キャンペーンや広告グループ、広告文などを一括で作成、編集する
- 複数の変更内容を元に戻したり、やり直したりする
- オフラインで作業する
- アカウントにアップロードする前に変更内容を下書きする
といったことが可能になります。Google 広告エディターを活用することで、運用にかかる時間を短縮することが可能です。
広告代理店に運用を任せる
ノウハウや時間がない場合や、リスティング広告の費用対効果をさらに強くさせたい場合は、専門の広告代理店に依頼するのも良いでしょう。
代理店に依頼する場合の費用目安としては、月に運用する広告費の約20%が手数料の相場と言われています。もちろん代理店によってプランの内容に違いがありますので、詳しくは問い合わせしてみてくださいね。