デジタルマーケティングに携わるなら理解しておきたい「ファネル分析」。
ファネル分析を正しく理解し活用することで、コンバージョン率を効率的に向上できるだけでなく、マーケティング施策の全体像を把握し、改善の整理に使えます。
本記事では、ファネル分析の基本知識からやり方、成功のポイントを解説しています。デジタルマーケティングで、売上拡大やリードの獲得といった成果を出すために1つずつ理解していきましょう。
目次
ファネル分析とは
ファネル分析の基礎知識
ファネル分析は、見込み顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでの流れを段階的に分けて、顧客がどの段階で離脱しているかを特定する分析手法です。
「ファネル」は、直訳すると「漏斗(ろうと)」の意味です。商品やサービスを認知している見込み顧客がいても、その中で商品に興味を持ち、実際に購入や登録に至る過程で徐々に人数が絞り込まれてきます。その様子を図式化すると、逆三角形状の器具である漏斗のようになることから「ファネル分析」と呼ばれています。
購買フェーズを可視化すると、業務の停滞や生産性の低下を招いている段階が明らかになります。段階ごとに絞った改善策を実施して、ゴール前の離脱を抑え、コンバージョン率の向上が望めます。
なぜファネル分析が重要なのか
ファネル分析は、売上やコンバージョン率改善に直結する手法です。
購入までに至らなかった消費者には、「商品に興味を持っているが購入まで至らない」場合、「そもそも認知されていない」場合など、購買フェーズの各段階で理由は異なります。
離脱率が高い箇所を可視化すると、購入前のどの段階に課題があるかが明確になり、段階にあわせた改善策が立てられるのです。
たとえば、ECサイトの商品ページを閲覧してから商品をカートに入れて、購入するまでの流れをみていきましょう。
| 商品ページの閲覧
↓ カートに追加 ↓ 注文フォームの入力 ↓ 購入完了 |
仮に、「ページを閲覧し、商品をカートに入れたが購入に至らないユーザー」が多い場合は、カートに入れてから購入までの段階に課題があることがわかります。ここでは、注文フォームの改善や画面表示の改善で売上を伸ばせる可能性があります。
このように、分析と改善を繰り返すことで、購入までの見込み客の離脱を防ぎ、効率的に売上を伸ばせるのです。
ファネル分析が使われる主な場面
ファネル分析は、ゴールに至るまでのプロセスが長いBtoB領域などで活用されることが多いです。
また、商品購入以外にも、契約や申込みといったゴール設定もできます。企業の採用プロセスの最適化やオンライン学習サービスの改善、モバイルアプリのユーザー体験向上などにも使われます。
例
| 場面 | 目的 | 段階 | 課題・改善案 |
| マーケティング(広告運用やSEO) | 広告運用やSEOの効果を可視化する。 | 広告や検索画面からサイト流入→商品や商材を購入・申込み・登録など | 広告のクリック率が低い場合、広告文を見直す。 |
| ECサイトの購入プロセス最適化 | 商品の購入プロセスで、どの段階でユーザーが離脱しているかを把握する。 | ECサイト流入→商品詳細ページ→カートに追加→支払い情報の入力→決済完了 | カートに追加したけど購入しない人が多い場合、送料の明示や割引クーポンの提供を検討する。 |
| アプリやWebサービスのUX改善 | アプリ内の特定のアクション(アプリ内購入など)に至るまでの行動を分析する。 | アプリインストール→アカウント作成→チュートリアル完了→初回購入 | チュートリアルで離脱が多い場合チュートリアル画面を改善。 |
ファネル分析の種類
マーケティングファネルには3つの種類があります。
パーチェスファネル(購入ファネル)
「パーチェス」は英語で「購入・購買」の意味で、「パーチェスファネル」は消費行動の流れを図式化したものです。
「認知→興味→比較検討→購入」と4つの段階に分けて分析します。マーケティングファネルというと、一般的にパーチェスファネルを指す場合が多いです。
インフルエンスファネル
「インフルエンスファネル」は、パーチェスファネルの先の段階に該当します。購入後の消費者の行動を表したものです。購入後の「継続→紹介→発信」と3つの段階に分けて分析されます。
顧客が口コミやレビューを書いたり、SNSで情報を発信したり、知人へ紹介したりと、商品の認知拡大や購入の後押しに影響を与える様子を表しています。
たとえば「商品をリピート購入する→商品について友人に話す→SNSで商品レビューを投稿する」といった流れが当てはまります。
ダブルファネル
パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたのが「ダブルファネル」です。「認知」段階から始まり「購入」の先の消費者行動まで分析する手法です。
近年、SNSの普及などにより、購入後の消費者のレビューや紹介が広告の役割を果たすことから、「購入」までの段階ではなく、その先の消費者行動の分析も重要視されるようになってきました。
ファネル分析の段階を理解しよう
ファネル分析は、顧客が商品やサービスに触れてから購入に至るまでのプロセスを「段階」に分けて捉えます。
ファネルの一般的な段階である「認知→興味→欲求→行動」の4段階について詳しくみていきましょう。
ファネルの一般的な段階
1. 認知(Awareness)
商品やサービスの存在を知ってもらう最初の段階です。
検索エンジンやWebメディア、Web広告、SNSなどを活用して認知度を高め、トラフィックを増やす場面が該当します。
2. 興味(Interest)
「認知」から進んだ「興味」段階は、見込み客が商品に関心を持ち、トップページや商品ページを確認する段階です。
新たな顧客を獲得し売上を増やすフェーズであり、商品やサービスの、より詳細な情報や魅力的なコンテンツ・LPで購買意欲を高める施策が必要となります。
3. 欲求(Desire)
「興味」段階からさらに進み、見込み客が「これを買いたい」「申込みたい」と思う段階です。ゴールまでの一押しをする必要があります。
購買や行動を促進する値引きや限定オファー、アフターフォロー体制のサジェストなどで後押しするのが効果的です。
4. 行動(Action)
実際に購入やサービスの利用をする段階です。商品を買い物かごに入れたものの、購入せずに離脱するのを防ぐために、スムーズな決済フローが重要となります。
入力フォームの簡略化、入力しやすいページ、ユーザーに行動喚起するボタンの改善などが有効です。
各段階での重要な指標
各段階の成果を正しく把握するためには、段階ごとに確認すべき指標を明確にしてください。
| 段階 | 重要な指標(例) |
| 1. 認知 | ・インプレッション数
・リーチ数 ・アクセス数 ・クリック数 ・ブランド認知度 |
| 2. 興味 | ・Webサイトのトラフィック数
・ページビュー数 ・平均滞在時間 ・バウンス率 ・離脱率 ・回遊率 |
| 3. 欲求 | ・商品カート追加率
・資料請求率 ・トライアル申込数 ・資料ダウンロード数 ・ウェビナー参加数 ・フォーム通過率 |
| 4. 行動 | ・コンバージョン率(CVR)
・リピート購入率 ・取引数 ・売上高 ・解約率 |
1. 認知(Awareness)
認知段階は、主に商品の認知度を計る指標が用いられます。インプレッション数やリーチ数、クリック率(CTR)などが該当します。
2. 興味(Interest)
Webサイトのトラフィック数や滞在時間、複数のページを閲覧する回遊率などのデータは、ユーザーにとってコンテンツが魅力的か判断する指標です。
3. 欲求(Desire)
欲求段階では、ユーザーが具体的にアクションを検討しているかを知るために、商品カート追加率や注文フォーム提出率、資料請求率、ダウンロード率などを見ます。
4. 行動(Action)
コンバージョン率(CVR)やリピート購入率を見て、行動段階の成果を把握します。売上に直結する指標のため、特に重要です。
CVRは見込み客がどれほど顧客に転換できたのかを示しています。
ファネル分析が古いと言われる背景
一部では「ファネル分析は古い」という考え方もあります。
インターネットの普及などにより、ユーザーが収集できる情報量が多くなり、商品を比較検討しやすくなりました。購入までのユーザー行動が多様化し、ファネルに当てはめることが難しくなっているためです。
一方で、ファネル分析は今でもマーケティング分析の基礎として有効であり、古くて使えない手法ではありません。
なかでも、ゴールに至るまでのプロセスがある程度決まっているBtoB領域や、特定のマーケティング施策による購買効果を測定したい場合などに有効な手法です。
ファネル分析の現代的な意義
現代のデジタルマーケティングにおいて、ファネル分析は消費者行動のどの段階で課題が生じているかを見つける基礎的なフレームワークとして、マーケティング施策の全体像の把握や改善の整理に活用できます。
また、CRM (顧客関係管理) ツール、SFA (営業支援自動化) ツール、MAツールといったツールとの併用や、AIや機械学習といった最新技術との併用により、複雑化する市場に対応できる手法となるでしょう。
ファネル分析を活用した施策例
ここからは、ファネル分析を活用した具体的な分析結果と対応策の例をみていきましょう。
WEB広告
広告クリック→LP遷移→購入/申し込みまでのプロセスをファネルに当てはめます。
結果、広告をクリックしてLPに遷移するユーザーは多いが、購入/申し込み段階で離脱が発生していることがわかったとします。
そこで、購入/申し込みへのハードルが下がるよう改善します。具体的には「入力フォームを見直す」「入力項目を減らす」「ページ遷移を減らす」などが挙げられます。
ECサイト
ECサイトでは、商品を選ぶ→カートに入れる→購入までのプロセスがあります。
たとえば、商品詳細ページからカートに入れず離脱するユーザーが多いことが分かれば、商品詳細の情報を増やす、商品ページの写真や配置を魅力的に改善する、などが施策として考えられるでしょう。
SaaS・アプリ開発
ダウンロード/無料会員登録→ユーザーオンボーディング→有料会員/課金申込までのプロセスをみていきましょう。
ユーザーオンボーディングから有料会員へ移行するまでに離脱が多い場合、製品の魅力を伝えるチュートリアルの改善や重要な機能へのスムーズな誘導、サポート体制の見直しなどが課題として考えられます。
ファネル分析のやり方
ファネル分析は大まかに、目標を決める→各段階をファネルに当てはめる→分析する、の流れで行います。
1. 目標と見るべき指標の選定
まずはファネル分析をする目的を明確にします。目標はコンバージョン率(CVR)など、具体的な数値で客観的に達成度を評価できるように設定すると、後の分析をスムーズにできます。
たとえば、CVRやコンバージョン単価(CPA)、ROI、自然検索流入数などが目標になります。
2. データを収集する
続いて、ファネル分析に有効なデータを収集します。目標到達までにユーザーがどのような段階をたどるのか、「流れ」を意識してデータを集めることが大事です。
たとえば、ECサイトでの購入ファネルは、
トップページ閲覧
↓
商品ページ閲覧
↓
カートへ追加
↓
支払いページへの移動
↓
注文フォーム入力
↓
購入完了
と段階をたどることが考えられます。
3. ファネルに当てはめる
ユーザー行動を各段階に分類すると、どの部分に改善が必要かが明確になります。
上記の例を「認知→興味→欲求→行動」の段階に当てはめてみましょう。
トップページ閲覧(認知)
↓
商品ページ閲覧(興味)
↓
カートへ追加(欲求)
↓
支払いページへの移動(行動)
↓
注文フォーム入力(行動)
↓
購入完了(行動)
4. 改善すべきポイントを特定する
段階ごとにコンバージョン率を比較し、どこでユーザーが離脱しているのかを数値で把握します。
なお、数値の低い段階のみに注目しがちですが、背景には競合の影響や季節変動の影響を受けている可能性もあります。数値だけで判断せず、数値が変動する要因がなかったかも確認しておきましょう。
5. 改善策を実行し、効果を測定する
問題の段階が特定できたら、改善策を提案し実行します。離脱が多い箇所について、問題の原因を深掘りしてみましょう。
たとえば商品をカートへ追加した後、支払いページに進む段階で離脱が多く発生している場合。商品の価格以外に送料や手数料が発生しており、ユーザーが想定していたよりも費用が高いことが、カートへ追加した段階で判明したことが考えられます。
この場合は、送料の記載をわかりやすくする、手数料込みの値段を商品ページに記載するなどが改善策として挙げられます。
また、改善策の実行後は、施策が適切であったかの評価が大切です。再度、問題や課題があれば改善策を提案・実行し、PDCAサイクルを回してください。
ファネル分析を成功させるポイント
数値だけでなくユーザーの心理も理解する
分析結果の数値だけで捉えるのではなく、数値では表せないユーザーの心理といった要素を理解するのもポイントです。
ユーザー心理の理解には、ABテストの結果やユーザーインタビューなどが有効です。ユーザー心理を深く分析すると、ゴールの後も、新たな顧客の獲得やブランドの信頼性向上につながります。
継続的にモニタリングと改善を繰り返す
ファネル分析は一度で完結するのではなく、仮説検証を繰り返して精度を高めていくことが重要です。施策の成果が思うように出ないときや、セール期間中の行動、新機能追加後といった新しい施策を試すときに行います。
さらに、改善後も定期的にファネル分析を行い、継続的に改善を繰り返しましょう。市場環境や顧客行動、ニーズは日々変化します。変化に対応するために、定期的に最適化していきましょう。
部分的な改善ではなく全体の最適化を目指す
問題の段階を部分的に改善するのではなく、購買プロセス全体の最適化を目指すのが理想です。
ボトルネックだけでなく、どの段階でもユーザーがストレスを抱えずに、行動段階までスムーズに進めるよう、全体の流れを常に意識しましょう。ほかの段階にもアプローチして、段階ごとの移動がスムーズになりCVRの向上が期待できます。
なお、全体の最適化には、数値をみるだけでなく、実際にユーザーとして各段階を体験することや、ユーザーアンケートをするなど、ユーザー体験の観点からも課題を探ってみましょう。「入力フォームが分かりづらい」「ページの読み込みが遅い」など、ユーザー目線になってはじめて気づくこともあるかもしれません。
ファネル分析に役立つツール
ファネル分析を効率的に行うために、活用できるツールをご紹介します。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、Webサイトのアクセス解析ツールです。Webサイトの各ページの閲覧数やユーザー数、ページへの遷移数、閲覧時間など、ファネル分析に必要な情報を定量化できます。
ユーザーがWebサイトのどの段階で離脱しているかを確認できるので、ファネル分析に適しています。
ヒートマップツール
ヒートマップは、Webサイトでのユーザー行動を視覚的に表示するツールです。ユーザーがWebページのどこをクリックしたか、ページのどこまでスクロールしたかなどを可視化できます。
Webページ上のどこに改善策を投じたらよいかを把握でき、ファネル分析と相性のよいツールです。
| おすすめのヒートマップツール | 特徴 |
| Ptengine | ・ヒートマップタイプの種類が多い(クリックヒートマップ、注目度ヒートマップ、スクロール深度、要素分析など)
・アクセス解析やABテスト機能 ・無料トライアルあり、有料プランも月6,578円からと比較的安価 |
| Mouseflow | ・ファネル分析機能がついている
・EFO、アンケート機能などで総合的にWebサイト改善施策を行える ・無料トライアルあり |
MAツール
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティング施策を自動化して管理するツールです。見込み客の情報を収集して、情報にあわせて自動的にアプローチし、購入や申込みを最適化します。
ファネル分析に必要なデータの収集や管理は、手作業で行うと工数がかかります。そこで、データ収集や顧客にあわせた適切なアプローチを自動で行えるMAツールが便利です。
| おすすめのMAツール | 特徴 |
| BowNow | ・中小企業向けに特化したMAツール
・シンプルな操作性で初心者にもおすすめ ・無料トライアルあり、月額プランも相場より低コストで導入可能 |
| SATORI | ・国産MAツール。MAツールは海外製が多い中で、言語の壁がなくヘルプやマニュアルがわかりやすい
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