誰もが日々インターネットにアクセスできる現代で、大きな効果を発揮するのがWeb広告です。多様化する企業の運用目的に対応できるように、さまざまな種類の広告サービスが提供されています。
本記事では、Web広告の基礎知識やメリット・デメリット、主なWeb広告媒体の種類と特徴などを紹介します。
また、自社に合う広告媒体の選び方や広告の費用対効果を上げる方法、よくある失敗の回避方法、業界別ケーススタディなども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
Web広告の基本を理解しよう
まずはWeb広告の基礎知識から解説します。
Web広告が選ばれる背景
Web広告が選ばれる背景や理由には、主に以下のものが考えられます。
消費者ニーズの多様化
近年、消費者のニーズは多様化しており、マス広告のような一方通行のアプローチだけでは個々のニーズに対応することが難しくなっています。一方、Web広告はユーザーのキーワード検索・閲覧履歴・購買行動などのデータをもとに、個別ニーズに合わせて広告を出し分けられる点が大きな強みのひとつです。
広告費の柔軟さと広告成果の可視化
従来の広告では、費用の高さや効果測定の難しさが課題でした。たとえばテレビCMは費用が非常に高額になりやすく、1回の放送で得られた広告効果を正確に把握するのは容易ではありません。その点、Web広告なら比較的低コストで始められ、管理画面上で詳細な広告効果も把握できます。このような「使いやすさ」も、Web広告が選ばれる大きな理由のひとつです。
Web広告市場の拡大
Web広告市場は10年以上右肩上がりで拡大しており、現在も拡大傾向が続いています。実際に2024年の日本の広告市場では、インターネット広告が3兆6,517億円、マスコミ4媒体(テレビメディア、新聞、雑誌、ラジオ)が2兆3,363億円と、2021年以降すでに両者の広告費が逆転しています。
モバイル端末の驚異的な普及
これらの理由に加えてスマートフォンなどのモバイル端末の普及も加わり、今やWeb広告は集客に欠かせない媒体になっています。なお、2023年の情報通信機器の世帯保有率はモバイル端末で97.4%。デバイス別では、スマートフォンは90.6%、パソコンは65.3%です。
Web広告のメリット・デメリット
メリット
【少額からでも始められる】
Web広告は数千円からでも始められる手軽さが特徴。月間予算としては、数万円程度で十分成果が見込めるケースもあります。また、配信量や予算もリアルタイムで調整できるためコスト管理もしやすく、マス広告よりも遥かに少ない予算で広告効果を狙うことが可能です。
【ピンポイントで狙ったユーザーに広告配信ができる】
年齢・性別・地域・興味関心、Web上での行動履歴など、細かなターゲティング設定が行えるのも魅力。購買意欲の高いユーザーにだけピンポイントで配信できるため、成果に直結しやすいのもメリットです。
【的確な効果測定ができる】
Web広告では、管理画面でインプレッション数やクリック数、コンバージョン率などの各指標が確認できるため、「どの数値が良くて、どこに改善の余地があるか」が一目で分かります。配信結果をもとに分析・改善を繰り返すことで、さらに精度を高めていくことができます。
【機械学習による運用の自動化】
多くの広告プラットフォームでは、機械学習によって成果が出やすい配信先・入札額・時間帯などを自動で調整してくれる機能があります。運用担当が細かく管理・設定をしなくても最適な形で配信されるため、初心者の方でも一定の成果を出しやすい設計になっています。
デメリット
【一定のWeb広告知識が必要】
配信自体は自動化されつつあるものの、ターゲット設計や予算配分、改善の優先順位などの判断は、まだまだ人の手による調整が欠かせません。高い成果を目指す場合、商材や配信媒体の特性を理解し、数値をもとに分析・改善していくスキルが求められます。
【出稿後も定期的な運用が必要】
Web広告は一度出せば終わりではなく、その後の運用が非常に重要です。出稿のハードルは低いものの、特に変化の早いWeb環境で成果を出し続けるためには、効果測定→改善という定期的な運用が欠かせません。
【出稿ハードルが高い商材がある】
出稿の際には、媒体が定める広告ポリシーや入稿規程に従う必要があり、違反すると広告出稿の審査に落ちることもあるので注意が必要です。商材によっては景品表示法や薬機法への理解も求められ、専門知識が必要になるケースもあります。
Web広告の課金方式
Web広告の課金形式には以下の種類があります。
課金形式 | 内容 |
クリック課金 | 広告がクリックされた回数に応じて課金 |
インプレッション課金 | 広告の表示回数に応じて課金
※1,000回表示ごとに課金されるのが一般的 |
期間保証型 | 広告の掲載期間によって費用が決まる |
エンゲージメント課金 | ユーザーのアクション数に応じて課金
※クリック・返信・いいね・リポストなど |
配信課金 | メールの配信数に応じて課金 |
視聴課金 | 広告の視聴回数に応じて課金 |
動画の再生時間による課金 | 広告の再生時間に応じて課金 |
インストール課金 | アプリのインストール完了数に応じて課金 |
フォロー課金 | フォロワー獲得数に応じて課金 |
記事広告・タイアップの掲載費用と記事制作費用 | 掲載費用:PV保証と掲載期間のどちらかで決まる
記事作成もまかせるならその分、費用がかかるケースが多い |
主なWeb広告の種類と特徴一覧
Web広告のメリット・デメリットを確認したところで、次はWeb広告の種類や特徴について見ていきましょう。
1. 検索広告(リスティング広告)
リスティング広告は、ユーザーが検索したキーワードに連動して検索エンジンの検索結果に表示するテキストタイプの広告です。「知りたい」「買いたい」などのニーズが明確なユーザーに対してアプローチできるため、成果に直結しやすい広告手法です。
特徴 | ・購買意欲、興味関心が高いユーザーにアプローチできる
・少額から出稿でき、即効性も期待できる ・細かいターゲティング設定が可能 |
主な媒体 | ・Google広告
・Yahoo!広告 |
課金形式 | ・クリック課金 |
費用相場 | 【単価】1クリックあたり1〜数千円
【予算】月額20〜50万円 |
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2. ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリに用意されている広告枠に画像・テキスト・動画などを組み合わせて表示できる広告です。ビジュアル訴求に優れているため、特に興味喚起や印象付けに向いている手法です。
特徴 | ・潜在層へのアプローチに効果的
・画像や動画を使うので視覚的訴求力が強い ・ブランディングでも効果を発揮する |
主な媒体 | ・Google広告
・Yahoo!広告 ・SNS広告 |
課金形式 | ・クリック課金
・インプレッション課金 |
費用相場 | 【単価】
・1クリックあたり50~100円 ・1,000インプレッションあたり10~数百円 【予算】 月額20〜50万円 |
3つの配信方法
ディスプレイ広告は、さらに以下の3つの配信方法に分類されます。
【アドネットワーク】
例:Google広告/Yahoo!広告
ディスプレイ広告として最も一般的な配信方法。いくつかの広告枠を集めてネットワーク化して広告を配信する仕組みで、主にWebサイトやソーシャルメディアの広告枠を利用します。複数の広告枠を使って一斉に広告を表示できるため、幅広いユーザーへ配信したい場合に向いている手法です。
【DSP広告】
例:Criteo/Logicad
「Demand Side Platform」の略。広告主が広告枠を購入するためのシステムで、配信先・入札金額・タイミング調整を自動で最適化してくれる配信方式です。アドネットワークを含む様々な媒体から適切な配信先を選定し、ターゲティングの精度も高い一方で、設定や調整の項目が多く運用難易度が高い手法です。
【純広告】
例:Yahoo!ブランドパネル/特定ニュースサイトの上部広告枠 など
Webサイトなどに用意されている広告枠を、固定価格で一定期間買い取って配信する広告です。予約型広告とも呼ばれ、多くの読者を抱えるメディアやWebサイトがサービスを提供するため、ブランディングや認知獲得に効果を発揮します。
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3. リターゲティング広告(リマーケティング広告)
リターゲティング広告は、自社サイトを訪問して離脱したユーザーを追いかけて広告を表示できる配信手法です。一度興味を持ったユーザーに繰り返しアプローチできるので、コンバージョンに繋がりやすいのが特徴です。
特徴 | ・広告を届けるターゲットを絞り込める
・ニーズが高いユーザーに効率よくアプローチできるので費用対効果が高い |
主な媒体 | ・Google広告
・Yahoo!広告 ・SNS広告 |
課金形式 | ・クリック課金
・インプレッション課金 |
費用相場 | 【単価】
・1クリックあたり50~100円 ・1,000インプレッションあたり10円以上 【予算】 月額20〜50万円 |
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4. SNS広告
SNS広告は、InstagramやX(旧Twitter)、Facebook、LINEなどのSNSに表示できる広告です。さまざまな配信手法があり、目的によって媒体や表示形式を柔軟に選択することができます。
特徴 | ・ターゲティング精度が高い
・高い拡散力やエンゲージメントが期待できる ・広告形式が豊富に用意されている |
主な媒体 | ・Instagram
・X(旧Twitter) ・LINE |
課金形式 | ・クリック課金
・インプレッション課金 ・アプリのインストール課金 ・動画の再生時間による課金 ・エンゲージメント課金 ・フォロー課金 |
費用相場 | ※月額費用は条件によって大きく異なる
【Instagram】 ・1クリックあたり40~100円 ・1,000インプレッションあたり500~1,000円 ・1再生あたり4~7円 【X(旧Twitter)】 ・1クリックあたり20~200円 ・1,000インプレッションあたり400~650円 ・1エンゲージメントあたり40~100円 【Facebook】 ・1クリックあたり100~200円 ・1,000インプレッションあたり100~500円 【LINE】 ・1クリックあたり24~200円 ・1,000インプレッションあたり400~650円 |
5. 動画広告
動画広告は、動画の再生前・再生途中・再生後などのタイミングに流せる動画形式の広告です。動画でインパクトを残しつつ狙ったターゲットにだけ配信できるため、テレビCMとWeb広告のメリットを掛け合わせたような広告手法です。
特徴 | ・認知獲得やブランディングに優れる
・情報量が多くインパクトもあるので、記憶に残りやすい ・狙ったターゲットに配信しやすい |
主な媒体 | ・YouTube
・各種SNS媒体 ・TikTok ・Google広告、Yahoo!広告 ・AbemaTV |
課金形式 | ・視聴課金
・クリック課金 ・インプレッション課金 |
費用相場 | 【単価】1再生あたり10円~
【予算】月額20万円 |
6. ネイティブ広告
ネイティブ広告は、Webメディアに掲載されている一般コンテンツに同化するように表示できる広告です。現代では「広告疲れ」という言葉が広まったように広告を意図的に避けるユーザーもいる中、自然な形で訴求できるのがメリット。
特徴 | ・商材の存在を知らない潜在ユーザーへのアプローチに向いている
・コンテンツの閲覧を邪魔しない ・広告形式が豊富 |
主な媒体 | ・LINE
・X(旧Twitter) ・Google広告 ・Yahoo!広告 ・Microsoft広告 ・Amazon広告 ・楽天広告(RPP広告) |
課金形式 | ・クリック課金
・インプレッション課金 ・期間保証型 |
費用相場 | 【単価】
・1クリックあたり20~70円 ・1,000インプレッションあたり400~800円 【予算】 月額30~50万円 |
7. アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、広告主が事前に設定した成果(購入・申し込みなど)を達成した件数や金額に応じて報酬が支払われる広告です。予算や運用面からも出稿ハードルが低いため、一定のアクセス数があるSNSアカウントやブログを持っている方におすすめの手法です。
特徴 | ・成果が発生しないと報酬も発生しないので費用対効果が高い
・購入促進にも認知拡大にも効果を発揮する |
主な媒体 | ・Webサイト(SEOサイト・インフルエンサー系メディアなど)
・ブログ ・各種SNS媒体 ・各種動画サイト ・メルマガ ・アドネットワーク |
課金形式 | ・エンゲージメント課金 |
費用相場 | 【予算】
・初期費用5万円程度 ・月額費用3~5万円 ・手数料30%程度 ・商材ごとの成果報酬 |
8. メール広告
メール広告はEメールで送付する広告で、HTML形式のメールであれば画像や動画の添付、フォントの装飾などを施したリッチな広告を表示できます。メールの内容によって広くイベント告知をしたり、反対にロイヤルユーザーへ限定情報を伝えたりと、さまざまな訴求ができます。
特徴 | ・自社のリストに沿って送付できるのでターゲティングしやすい
・メールの開封率やメール内のURLのクリック率を測定できる ・URLがクリックされないと課金されないので費用対効果は高い |
主な媒体 | ・自社運営のメルマガ
・メール広告配信サービス |
課金形式 | ・クリック課金 |
費用相場 | 【単価】1件あたり約5〜100円 |
9. 音声広告
音声広告とは、音声を届けるメディアで商品やサービスをアピールできる広告です。「音声によるCM」と考えるとイメージしやすいでしょう。移動中や家事中などの「ながら聴き」が想定されるため、15秒〜30秒ほどの短時間でどれだけインパクトを残せるかがポイントです。
特徴 | ・音声で語り掛けられるので記憶に残りやすく、ブランディング効果も期待できる
・スキップできないため、最後まで聴いてもらいやすい ・位置情報やデバイスなどを指定してターゲティングできる |
主な媒体 | ・ラジオ
・ポッドキャスト ・音声アシスタント ・音楽配信サービス |
課金形式 | ・インプレッション課金
・視聴課金 |
費用相場 | 【予算】
・ラジオCM:生放送5万円、収録15~50万円 ・スポットCM:20秒で2万円 ・デジタル音声広告:月額50万円 |
10. リワード広告
リワード広告は、広告主が報酬発生条件として設定したアクションをユーザーが行うことで報酬を受け取れる広告です。ユーザーにとってもメリットがあるため、アクションを促しやすい手法です。
特徴 | ・報酬が発生するので閲覧されやすい
・積極的に見られるので、自社商品の情報を伝えやすい ・アプリのダウンロードや体験プレイなど、ユーザーがやりやすいアクションを条件にできる |
主な媒体 | ・Google AdMob
・Facebook Audience Network ・LINE広告ネットワーク ・GREE Ads Reward |
課金形式 | ・エンゲージメント課金 |
費用相場 | ※成果報酬の内容や条件の難易度によって大きく異なる
【単価】アプリのインストールが条件の場合、数十円~数百円 |
11. 記事広告(タイアップ広告)
記事広告(タイアップ広告)は、商品やサービスの宣伝を目的に、広告主とメディアが連携して作成する記事のこと。掲載するWebメディアの読者に合わせて作成されるため、興味を持ってもらいやすいのも特徴です。
特徴 | ・広告感がなく、第三者の視点で作成するので説得力がある
・情報量が多いので、競合との差別化がしやすい ・掲載メディアの信頼性を活用できるので、高いSEO効果も期待できる |
主な媒体 | ・Webメディア
・ニュースサイト |
課金形式 | ・掲載費用:PV保証と掲載期間のどちらかで決まる
・記事の制作費用が別途かかることも |
費用相場 | 【予算】
※掲載するメディアによって条件によって大きく異なる ・朝日新聞デジタル:350万円~ ・新R25:100万円 ・MERY:180万円 |
自社に合うWeb広告の選び方
広告の目的に合わせて選ぶ
Web広告はそれぞれ、「認知→興味→検討→行動→継続」というコンバージョンまでの各ステップに対して得意な領域があります。目的別のおすすめWeb広告と、最も精度が高くアプローチできる手法を選ぶためのポイントをご紹介します。
一覧表
リスティング | ディスプレイ | リターゲティング | SNS | 動画 | ネイティブ | アフィリエイト | メール | 音声 | リワード | 記事広告 | |
認知 | △ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
興味 | ◯ | ◯ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | △ | ◎ |
検討 | ◎ | △ | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ | △ | △ | ◎ |
行動 | ◎ | △ | ◎ | ◎ | ◯ | △ | ◎ | ◯ | △ | ◯ | ◯ |
継続 | △ | △ | ◎ | ◎ | △ | △ | ◯ | ◎ | △ | △ | △ |
ただし、ここでご紹介する相性はあくまで一般的な傾向のため、自社の商材・目的と本当に相性が良いかどうかを必ず確認してから選定するようにしましょう。
認知拡大
|
上記はマス広告と同じように配信できるユーザーのボリュームが多く、ビジュアルや動画、音声でインパクトを残しやすい手法です。認知拡大が目的の場合は、表示回数や掲載範囲の広さと、どれだけ印象付けができるかをポイントに選ぶとよいでしょう。
ブランディング
|
ブランディング目的の場合、よりこだわったクリエイティブや広告を配信できる手法がおすすめです。これらの形式は画像・動画・記事などを利用して伝えられる情報量が多く、表現の幅も広いため世界観を伝えやすいからです。
Webサイト等への集客
|
上記はクリックを狙い、WebサイトやLPへの流入に向いた手法です。興味を抱いたユーザーがサイトへアクセスするための自然な動線設計ができるため、Webサイト集客との親和性が高い広告媒体です。
リードジェネレーション(見込み顧客獲得)
|
問い合わせ、資料請求、メルマガ登録などのアクションが目的の場合におすすめの手法。それぞれ精度の高いターゲティング設定ができるため、角度の高い見込み顧客に向けてアプローチが可能です。
ナーチャリング(見込み顧客育成)
|
自然な形で繰り返しユーザーとの接点を作れる形式がおすすめ。これらの手法をうまく活用できれば、ニーズが高いユーザーに効率よくアピールできたり、有益な情報を提供しつづけることで購買意欲を刺激したりできます。
購買
|
購入意欲が高まっているユーザーに向けて広告を配信し、コンバージョンを狙います。どのWeb広告もECサイトなどへ直接遷移させられるため、購買までの導線もスムーズに設計できます。
リピーター獲得
|
これらはコンバージョン済みのユーザーにターゲットを絞って配信できることから、再度自社サイトに誘導したり、限定のセール情報やキャンペーン情報を伝えてリピート購入を促すことができます。
配信目的と合わせて考えるべき考慮点
目的に合わせていくつかの手法が考えられる場合、下記のポイントも踏まえて優先すべき手法を検討しましょう。
配信媒体とユーザー属性の相性
配信媒体のユーザー属性を調査して、自社のターゲットがいるかどうかをチェックすることが重要です。
わかりやすい例がSNS広告です。たとえば、画像や動画を好む女性ユーザーが多い媒体を選ぶならInstagram、情報収集が目的のユーザーが多い媒体を選ぶなら、口コミのような投稿が多く拡散力に優れるX(旧Twitter)のように、ターゲットによって選ぶべき手法・媒体が変わってきます。
ただ、認知拡大が目的ならある程度のセグメントで良いですが、自社が狙うターゲット像が明確なら細かくターゲティングできる手法を選びましょう。
初期予算の相場
Web広告は少額から始められるのがメリットでもありますが、十分な効果を得るにはある程度の予算確保が必要なケースが多いです。いくら商材と媒体の相性が良くても予算が少なければリターンも少なくなりますので、自社の予算感と合うかも見ておく必要があります。
リスティング広告 | 月額20〜50万円 |
ディスプレイ広告 | 月額20〜50万円 |
リターゲティング広告 | 月額20〜50万円 |
SNS広告 | 月額30〜50万円 |
動画広告 | 月額20万円〜 |
ネイティブ広告 | 月額30~50万円 |
アフィリエイト広告 | 月額費用3~10万円 |
メール広告 | 5〜100円×送信件数 |
音声広告 | ・ラジオCM:生放送5万円、収録15~50万円
・スポットCM:20秒で2万円 ・デジタル音声広告:月額50万円 |
リワード広告 | 数十円~数百円×目標獲得件数 |
記事広告・タイアップ広告 | ※掲載するメディアによって条件によって大きく異なる
1回100万円〜 |
場合によっては数万円からでも十分に効果が出ることもありますが、特にリスティング広告やディスプレイ広告などの運用型広告においては、20〜30万円程度が成果に繋がる最低ラインだと認識しておくとよいでしょう。
あとは業界・商材によっても必要な予算が大きく代わりますので、自社に必要な予算を把握したうえでどの手法に注力するかを判断してください。
【予算の決め方(目標コンバージョン数から算出する場合)】
<条件>
<計算式> 目標コンバージョン数×コンバージョン単価=月の予算額
<計算例> 150件×3,500円=525,000円 |
業界別ケーススタディ
この項目では、さらに具体的に業界別の活用ケーススタディを紹介します。
1. 地域密着型ビジネス(美容室/病院/塾など)
「美容院の来店促進」を例に、具体的な広告配信を考えてみましょう。
|
Web広告で即効性のある集客を行いつつ、同時にオウンドメディアも育てることで、徐々に広告費を削減していく効果が期待できます。
2. オンラインサービス(SaaS・Webサービスなど)
次の例は「オンラインサービスの見込み客獲得」です。
|
SaaSやWebサービスは動画と相性が良いと考えられるので、機能解説やプロモーション映像などを作成し、動画プラットフォームや動画広告に配信するのが良いでしょう。
3. eコマース(ECショップ)
目的は「ファッション系ECショップの購入促進」です。
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ECショップの集客では、自社の商材が「視覚的に訴求すべきものか、そうでないか」によって利用するSNSやWeb広告媒体が変わります。ファッション系の商品はデザインや生地などのビジュアル訴求が有効なので、SNSやWeb広告媒体も視覚的訴求に優れているものを選ぶのがおすすめです。
Web広告の費用対効果を上げるポイント
自社に合うWeb広告の選び方を確認したところで、次は実際にWeb広告を運用するときに費用対効果を上げるためのポイントを紹介します。
目的・ターゲットを明確にする
Web広告の費用対効果を上げるためには、最初の設計が非常に重要です。目的やターゲットが曖昧なままでは、豊富な配信手法や高度なターゲティングなどのメリットが活かしきれず、無駄なコストや手間が発生するリスクがあります。
まずは目的とターゲットの解像度を上げ、それに沿った広告手法・媒体を選ぶ。このように「設計→運用」の順番で進めることで、広告効果を最大化しやすくなります。
定期的な運用を行う
Web広告には効果測定が行いやすいという大きなメリットがあります。広告運用の費用対効果を高めるためには、この利点を最大限に活かして広告効果の「測定・分析・改善」のサイクルを積極的に回し、広告を最適化していくことが重要です。
配信する広告クリエイティブやターゲット設定が最適化されるほど、費用対効果も上がっていきます。
予算の増額・撤退ラインを決めておく
Web広告運用では常に状況が変化しますので、特に運用型広告ではこの考え方が重要です。
運用がうまくいって予算を増額した方が良いケースもあれば、運用結果が悪くて広告を停止した方がいいケースも出てきます。どちらのタイミングも広告運用において重要なので、増額できる予算や撤退する場合の基準額をあらかじめ決めておき、いざというときに備えておきましょう。
事前に基準となる額を決めておけば、迷わずスムーズに対処できます。特に広告運用がうまくいっていないときはダメージの拡大を抑える必要があるので、撤退ラインの基準額を決めておくことは非常に重要です。
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運用時の落とし穴とその回避策
Web広告運用では、ついついやってしまいがちな失敗があります。ただ、その失敗の内容と回避策を事前に知っておけば、予防することが可能です。
広告費の予算超過
広告運用では気を付けなければいけないことがたくさんありますが、中でも重要なのが「予算管理」です。特にリスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などの運用型広告では予算超過が起こりやすいので注意が必要です。
主な予算超過の原因は、「0を1つ多く打ち込んでしまった」などの設定ミスや、「上限クリック単価を未設定のまま運用した」などの管理不足。これらを人的ミスを防ぐためには、以下のような対策を行いましょう。
- 設定のダブルチェック体制を整える
- 週1回以上、必ず配信状況と費用進捗をモニタリングする運用フローを作る
- 料金アラートのメール通知を利用する
過度なターゲティングによる成果の低下
Web広告はターゲットを細かく設定できるメリットがある一方で、ターゲットを絞りすぎるとリーチできる範囲が狭くなり、思うように成果が出ないケースがあります。理想のターゲットだけに限定して配信するのではなく、興味を持ってくれそうなユーザー層へもアプローチを広げましょう。
最初は「性別や年齢などの大枠の属性だけに留める」など広めのターゲティングからスタートし、広告効果やリーチの数などを確認しながら徐々に絞り込むのがおすすめです。
広告の完成度にこだわる
Web広告では、必ずしも「完成度が高い広告ほど成果が出る」わけではありません。高クオリティを追求するよりも、複数の広告を出してユーザーの反応を見つつ改善を繰り返す方が成功確率が上がります。
近年では機械学習・自動最適化の精度も上がっているため、ひとつの広告にこだわり時間をかけて準備するよりも、即座に配信停止や広告の切り替えできるメリットを活かしてPDCAを回しながら、ターゲットに合った訴求・クリエイティブを探す方がおすすめです。
広告規制に違反してしまう
Web広告を運用するときは、以下の法律や広告規制に違反しないように注意が必要です。
- 薬機法
- 医薬品・医療機器、化粧品などの品質・有効性・安全性を確保するための法律
- 景品表示法
- 消費者が良い商品を選べる環境を守るための法律
- ステルスマーケティング(ステマ)
- 広告や宣伝であることを隠して商品の購入を促す発信
- 誇大広告
- 商品の内容や価格を、実際よりも優良または有利なように消費者に誤認させる広告
これらに違反すると罰則が科される可能性があります。また、各広告媒体にはルールを定めた入稿規程があります。使ってはいけない言葉・表現なども定められているので、必ず確認しておきましょう。
自社運用が難しい場合は専門家に任せる方法も
Web広告はオフラインの広告よりも出稿のハードルは低いですが、出稿したあとも配信管理やクリエイティブの更新・変更、広告効果の分析・改善などを行う必要があります。
これらの作業で成果を出すにはある程度の知見やノウハウが必要なため、社内のリソースの質に不安がある企業は広告代理店を利用するのも一手です。初心者がゼロからWeb広告の運用を始めるよりも、最終的な費用対効果が高くなる可能性があります。
広告代理店の費用相場
広告代理店に運用を任せる場合の費用の内訳には以下の種類があります。
- 広告費
- 運用手数料(広告主が用意する広告費の約20%が相場。定額制・成果報酬制を採用する代理店もある)
- 初期費用(5~数十万円が相場。不要の場合もある)
- オプション費用(詳細な運用レポートの作成、訪問コンサルティングなど。オプションの有無、費用などは代理店によって異なる)
代理店に依頼するときに必要になる費用は、月額の広告費と運用手数料を合算した額になるのが一般的です。広告費は広告主が自由に決められますが、用意する額が月25万円以下なら運用手数料も定額制が採用され、金額を5万円に設定する代理店が多いようです。
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