GDN動画広告の仕組み・入稿規定・課金形態を基礎から解説。あわせて2026年に進むデマンドジェネレーションへの統合の影響と、今から確認すべきポイントもまとめました。
GDN動画広告とは?
「GDNって画像やテキストのバナー広告のイメージだけど、動画も出せるんだろうか」——ディスプレイ広告の担当を任された方なら、一度はこの疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。実際にGoogle広告の管理画面を開いてみると、動画広告に関連する選択肢がいくつも並んでいて、どれがGDN(Googleディスプレイネットワーク)向けの動画で、どれがYouTube向けの動画なのか、案内を読むだけでは判断がつきにくい状態になっています。しかも2026年に入ってからは、GDNの配信の仕組み自体がデマンドジェネレーションキャンペーンへ統合される動きが進んでいます。この記事では、GDNで動画広告を出す仕組みを正確に整理したうえで、2026年時点で押さえておくべき制度変更、入稿規定や課金形態、そして実際に成果へつなげるための実践ポイントまでを、今日から行動に移せる形でまとめます。
GDNで動画広告は出せる?まず知っておきたい配信の仕組み
結論から言うと、GDNで動画クリエイティブを配信すること自体は可能です。ただし、検索すると出てくる「スキップ可能なインストリーム広告」「バンパー広告」といった動画フォーマットの多くは、実はGDN(ディスプレイネットワークのバナー面)ではなく、YouTube本体や動画パートナーに配信される仕組みになっています。
Google広告の公式ヘルプでは、Googleディスプレイネットワークと YouTube は、広告を掲載できる別々のプロパティとして説明されています。GDNはテキスト・画像・動画・リッチメディアといった複数の広告形式に対応していますが、ここでいう「動画」は主にレスポンシブディスプレイ広告に動画アセットを追加する形と、アウトストリーム広告として配信する形の2通りです。一方、スキップ可能・スキップ不可のインストリーム広告、インフィード動画広告(旧TrueViewディスカバリー広告)、バンパー広告、マストヘッド広告は、いずれもYouTube動画やYouTubeのフィード、Google動画パートナーのアプリ・ウェブサイトに配信される「動画キャンペーン」のフォーマットであり、GDNのバナー面には表示されません。
| 広告フォーマット | 主な配信面 | こんな目的の方向け |
|---|---|---|
| レスポンシブディスプレイ広告の動画アセット | GDN内のウェブサイト・アプリ、YouTube、Gmail | 画像バナーに動画を組み合わせて情報量を増やしたい方向け |
| アウトストリーム広告 | GDN・Gmail(モバイル中心、YouTubeには非表示) | YouTube以外の記事ページやアプリで動画を見てもらいたい方向け |
| スキップ可能・不可のインストリーム広告 | YouTube動画内、Google動画パートナー | YouTubeを見ている人に直接訴求したい方向け |
| インフィード動画広告 | YouTubeホームフィード・検索結果・次のおすすめ | 興味を持った人に自分から動画を選んでもらいたい方向け |
| バンパー広告 | YouTube動画内、Google動画パートナー | 短時間で繰り返し印象づけたい方向け |
| マストヘッド広告 | YouTubeホームフィード最上部 | 一定期間で大規模な認知を獲得したい方向け |
つまり「GDNで動画広告を出したい」という要望に純粋に当てはまるのは、表の上2行(レスポンシブディスプレイ広告の動画アセット、アウトストリーム広告)です。それ以外の4形式は、GDNではなくYouTube広告・動画キャンペーンとして検討すべきフォーマットになります。この前提を踏まえると、2026年に入って進んでいるGDNの制度変更も見過ごせません。
【2026年最新】GDNはデマンドジェネレーションへ統合が進行中
2026年6月から、Googleはディスプレイキャンペーン(GDN)をデマンドジェネレーションキャンペーンへ統合する移行ツールの提供を段階的に開始しています。これからGDNで動画広告を始める、または見直す方は必ず押さえておく必要があります。
移行のスケジュールと、今起きていること
Google広告ヘルプによると、2026年6月以降、既存のディスプレイキャンペーンには移行ツールが順次表示されるようになり、過去42日分のパフォーマンス履歴を引き継いだ状態でデマンドジェネレーションキャンペーンへ切り替えられるようになっています。移行は2027年までに完了する予定で、今後新規のディスプレイキャンペーンは、デマンドジェネレーションの枠組みの中でのみ作成する形に一本化されていきます。対応しないまま残ったキャンペーンも、最終的には自動的に移行される見込みです。
動画広告への影響と、GDN限定配信は今後も可能か
デマンドジェネレーションへ統合されたあとも、配信面としてのGDNがなくなるわけではありません。チャネルの詳細設定で「ディスプレイネットワークのみ」を選択すれば、これまでと同じようにGDN面だけに絞った配信を続けることができます。動画クリエイティブについても、レスポンシブディスプレイ広告で使っていた動画アセットはそのまま引き継がれ、むしろデマンドジェネレーションではアップロードできる動画アセットの種類が広がる方向で案内されています。一方で、手動CPC入札が使えなくなり目標CPCベースの入札に切り替わる、コンバージョン課金だった請求がクリック課金に自動的に切り替わるなど、運用面でのルール変更も予定されているため、入札方法や請求方式を前提に予算計画を立てている場合は影響を受ける可能性があります。
移行対象になったかどうか、まだ通知が来ていない場合でも、次のチェックリストで今のうちに状況を確認しておくことをおすすめします。
| 状況 | 今のうちに確認しておきたいこと |
|---|---|
| まだ移行ツールの通知が来ていない方 | 管理画面に移行ツールが表示されたら、予算の小さいキャンペーンから試すか、対象キャンペーンでのみ先行実施するかを決めておく |
| すでに移行ツールの通知が来ている方 | 手動CPCで入札しているキャンペーンがないか洗い出し、目標CPCへの切り替え後に想定される単価の変動を確認する |
| GDN面だけに配信を絞っている方 | 移行後もチャネル設定で「ディスプレイネットワークのみ」を選び直せることを確認し、他チャネルへの意図しない配信拡大を防ぐ |
たとえば、現在GDN限定で週あたり3万円(月換算で約13万円)のキャンペーンを手動CPCで運用しているケースを想定します。移行ツールの通知を受けたら、まずこのキャンペーンだけを先行して移行し、目標CPCへの切り替え後1〜2週間は同じ週3万円の予算のまま配信結果を観察します。クリック単価が移行前と比べて大きく変動していないかを確認したうえで、問題がなければ他のキャンペーンの移行に進む、という順序で進めると、予算全体への影響を抑えながら対応できます。
ここまでの制度面の前提を踏まえたうえで、実際にGDNで動画広告を配信する2つの方法と、入稿時の目安を確認します。
GDNで動画広告を配信する2つの方法と入稿規定
レスポンシブディスプレイ広告に動画アセットを追加する
もっとも一般的な方法が、通常のレスポンシブディスプレイ広告(RDA)に動画アセットを追加するやり方です。画像や見出し、説明文といった通常のアセットに加えて動画を登録しておくと、Google広告側が「動画の方が成果につながりやすい」と判断した配信先で、画像の代わりに動画が表示される仕組みになっています。ここで注意したいのが、動画は手元のファイルを直接アップロードするのではなく、あらかじめYouTubeにアップロード済みの動画のURLを指定する形式だという点です。そのため、動画自体の解像度やファイル形式についてGDN側で独自の上限が細かく定められているわけではなく、YouTubeにアップロードできる動画であれば基本的に利用できます。アスペクト比は16:9・1:1・4:3・9:16に対応しており、長さは30秒以内を目安にすると、さまざまな配信面に適応しやすくなります。
アウトストリーム広告として動画キャンペーンを組む
もう一つの方法が、動画キャンペーンの中の「アウトストリーム広告」を選ぶやり方です。アウトストリーム広告はモバイル向けの動画広告で、GDN内のウェブサイト・アプリやGmailに配信され、YouTube本体には表示されません。ミュート状態で自動再生され、ユーザーがタップして初めて音声が流れる仕組みのため、テロップや字幕を使い、音声がなくても内容が伝わる構成にすることが特に重要になります。視聴単価ではなく、実際に画面に表示された割合(視認可能なインプレッション)に応じて課金される点も、CPVやCPCとは異なるアウトストリーム広告ならではの特徴です。
入稿前に準備しておきたい動画の目安を、実務でつまずきやすいポイントとあわせて一覧にしました。数値は執筆時点の目安であり、最新の正確な条件は配信直前に必ずGoogle広告の公式ヘルプでご確認ください。
| 確認項目 | 目安 | つまずきやすいポイント |
|---|---|---|
| 動画の長さ | 30秒以内(レスポンシブディスプレイ広告の場合) | 秒数だけを気にして、冒頭に肝心の内容を詰め込み忘れる |
| アスペクト比 | 16:9・1:1・4:3・9:16 | 正方形・縦型を1本も用意せず、モバイル面での見え方が崩れる |
| 動画の入稿方法 | YouTubeにアップロード済みの動画をURLで指定 | 限定公開設定が「非公開」のままで、広告として認識されない |
| 音声の扱い | ミュート再生が前提 | ナレーションだけで内容を説明し、字幕やテロップを入れていない |
入稿の形が決まったら、どの課金形態・どのフォーマットを選ぶかを、自社の目的から逆算して考えていきます。
課金形態と、目的別に見る動画広告の選び方
GDNの動画広告で使われる主な課金形態は、視聴課金(CPV)、クリック課金(CPC)、視認可能インプレッション課金(vCPM)の3種類です。同じ動画クリエイティブでも、どの課金形態を選ぶかによってGoogleが最適化しようとする行動が変わるため、目的とのミスマッチが起きやすいポイントでもあります。
| 課金形態 | 課金のタイミング | こんな目的の方向け |
|---|---|---|
| 視聴課金(CPV) | 動画が一定時間以上視聴された、またはクリックされたとき | 実際に動画を見てもらった分だけ費用をかけたい方向け |
| クリック課金(CPC) | 広告がクリックされたとき | 視聴よりもサイト誘導・行動喚起を優先したい方向け |
| 視認可能インプレッション課金(vCPM) | 広告の一定割合が画面に一定時間表示されたとき | クリックよりも幅広い認知・接触回数を増やしたい方向け |
どれを選べばいいか迷う場合は、自社が今回の動画広告で最終的に何を得たいかから逆算するとシンプルになります。認知を広げたいだけであればvCPM、動画をきっかけに資料請求や問い合わせといった行動を増やしたいのであればCPCを軸にし、視聴回数そのものをブランド指標として追いたい場合はCPVを選ぶ、という順で検討してください。選んだフォーマット・課金形態を実際の成果につなげるには、制作・運用面の工夫も欠かせません。
GDN動画広告の効果を高める実践ポイント
最初の数秒で伝わる構成にする
GDN・アウトストリーム広告はミュート再生かつ小さな画面で流れることが多いため、冒頭で「誰向けの・何の広告か」が伝わらないと、多くのユーザーは数秒で離脱してしまいます。ナレーションで説明する前提の構成ではなく、最初のカットに商品名やベネフィットとなる一言をテロップで入れておくことで、音声をオンにしていないユーザーにも内容が伝わりやすくなります。
静止画バナーとの役割分担を決めておく
動画広告は情報量を増やせる一方で、静止画バナーより制作コストと時間がかかります。すべての配信面を動画に置き換える必要はなく、情報量が必要な新規層向けのメッセージは動画、既に興味を持っているユーザーへのリマーケティングは静止画で行動を後押しする、というように役割を分けて運用すると、限られた制作リソースでも成果を出しやすくなります。動画にすれば必ず成果が伸びるとは限らない、という前提を持っておくことが、無理のない運用につながります。
目的別フォーマット判定の実演例
ここまでの内容を踏まえて、実際に自社の目的から配信フォーマットを判定する例を1つ示します。以下は、仮に「月間広告予算15万円で、まずは新商品の認知を広げたい。動画素材は15秒のものが1本ある」という条件を置いた場合の一例です。
| 判定ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1.目的の確認 | 認知拡大が目的のため、課金形態はvCPMを軸に検討する |
| 2.配信面の確認 | YouTube本体への露出よりも、GDN内の記事ページ・アプリでの接触回数を優先したいため、アウトストリーム広告を選択する |
| 3.予算配分の目安 | 月15万円のうち、まず7〜8割をアウトストリーム広告に、残りをレスポンシブディスプレイ広告の動画アセット(既存の静止画バナーと並走)に配分し、2週間ほど様子を見る |
| 4.素材の当てはめ | 15秒の動画はそのままレスポンシブディスプレイ広告の動画アセットとして登録し、アウトストリーム広告用には冒頭3秒に商品名を入れたテロップ版を別途用意する |
このように、目的・予算・手元の素材という3つの条件を順番に当てはめていくと、フォーマット選びで迷う時間を減らせます。そもそも動画素材が手元にない場合は、どう準備を進めればよいかも整理しておきます。
動画素材がない場合、どう準備すればいいか
「動画広告を試したいが、そもそも動画素材がない」というケースも少なくありません。この場合、大きく分けて「既存の静止画素材から動画を組み立てる」「新規に撮影・制作する」の2つの選択肢があります。既存の商品写真やロゴ、テキスト訴求だけで構成する簡易的な動画であれば、静止画バナーの制作と近い工数で用意できることも多く、まずは小さく試してみたい場合に向いています。一方で、実際の使用シーンや人物の動きを見せたい場合は撮影が必要になり、制作会社への依頼を検討する場面も出てきます。
複数の企業のディスプレイ広告・動画広告の運用に携わる中で感じるのは、初めて動画広告に挑戦する企業ほど「完成度の高い1本」にこだわりすぎて着手が遅れてしまう、という傾向です。むしろ、簡易的な構成の動画を複数パターン用意して配信結果を比較し、反応の良かった構成をもとに次の動画をブラッシュアップしていく進め方の方が、限られた予算の中では成果につながりやすいと感じています。
内製で試すか外部に依頼するかを判断する際は、社内に動画編集の経験者がいるか、そして配信結果を見ながら短いサイクルで作り直せる体制があるかを基準にすると判断しやすくなります。
配信後に効果を確認する方法
配信を始めたら、視聴完了率・クリック率・コンバージョン数のうち、どれか1つだけを見て一喜一憂するのではなく、設定した目的(認知・行動喚起のどちら寄りか)に対応する指標を主指標として決めておくことが大切です。認知目的であれば視認可能インプレッション数と視聴完了率、行動喚起目的であればクリック後のコンバージョン数を主指標とし、それ以外は参考指標として扱うと、改善の判断がぶれにくくなります。配信開始から1〜2週間は学習期間として大きな変更を控え、そのあとにクリエイティブや配信面を1つずつ見直していくと、何を変えたことで数値が動いたのかを把握しやすくなります。
よくある質問
Q. GDNの動画広告は、YouTube広告と同じ管理画面で設定できますか?
はい、いずれもGoogle広告の管理画面から設定します。ただし、GDN向けのレスポンシブディスプレイ広告・アウトストリーム広告と、YouTube本体に配信される動画キャンペーンのフォーマットとでは、選択するキャンペーンの種類が異なる点に注意してください。
Q. デマンドジェネレーションへの統合後、GDNだけに配信を絞ることはできなくなりますか?
いいえ、チャネルの詳細設定で「ディスプレイネットワークのみ」を選択すれば、統合後もGDN面に限定した配信を続けられます。ただし入札方法や請求方式など、周辺のルールが変わる部分があるため、事前の確認をおすすめします。
Q. 動画とバナー画像、どちらを優先すべきですか?
どちらか一方に絞る必要はありません。レスポンシブディスプレイ広告は画像と動画の両方を登録でき、Google広告側が成果の出やすい方を優先的に表示する仕組みになっています。まずは両方を登録しておき、配信結果を見ながら比重を調整する進め方が現実的です。
Q. 動画広告の費用はどのくらいを見ておけばいいですか?
課金形態(CPV・CPC・vCPM)や競合状況によって単価は変動するため、断定的な相場を示すことは避けますが、まずは月数万円程度の小さな予算でテスト配信し、自社の業界・訴求内容での実際の単価感をつかんでから予算を広げていく進め方が、失敗を小さく抑えられます。
まとめ
GDNで動画広告を出せるかどうかで迷ったら、まず「レスポンシブディスプレイ広告の動画アセット」と「アウトストリーム広告」という、実際にGDN面に配信される2つの方法から検討を始めてください。そのうえで、2026年に進んでいるデマンドジェネレーションへの統合が自社のキャンペーンにどう影響するかを早めに確認しておくと、制度変更に振り回されずに済みます。まずは手元にある動画素材、あるいは静止画から組み立てた簡易的な動画を1本、小さな予算で配信してみることから始めてみてください。