サイト改善は何から手をつけるかで成果が大きく変わります。目的別の優先順位の付け方から、分析で見るべき指標の目安、7ステップの進め方、成果が出ないときのチェックポイントまで実践的に解説します。
目次
サイト改善、何から手をつければ成果につながるのか
「サイトを改善したいが、何から着手すればいいのか分からない」「アクセス解析ツールを入れてみたものの、どこを直せばいいのか判断がつかない」。サイトの改善に関わる方であれば、一度はこうした迷いに直面したことがあるのではないでしょうか。
また、既に何らかの施策(ボタンの色を変える、ページの表示速度を上げるなど)を試したにもかかわらず、思うような成果が出ていないという方も少なくありません。
サイト改善には、SEO・コンバージョン率(CVR)改善・行動喚起(CTA)の見直し・リピート率向上・導線改善など、複数のテーマがあります。この記事では、それぞれのテーマについて、よくある症状から原因を切り分け、今すぐ着手できる対処までを具体的に解説したうえで、複数の症状が同時に当てはまる場合の優先順位の付け方まで、実際に行動へ移せる形でまとめています。
サイト改善とは?目的は1つではない【基礎知識】
サイト改善とは、公開済みのWebサイトについて、アクセス解析や競合比較などのデータに基づいて課題を特定し、構造・デザイン・コンテンツを継続的に見直していく取り組みを指します。新規制作やリニューアルのように一度で完結する取り組みではなく、公開後も反復して行う運用に近い活動です。
ここで押さえておきたいのは、「サイト改善」という言葉が指す範囲は一つではないという点です。主に、次の5つのテーマに整理できます。
| 1. SEO(検索集客)の改善 | 検索エンジンからの自然検索流入を増やすための施策 |
| 2. CVRの改善 | 訪問者のうち、問い合わせや購入など目的の行動に至る割合を高める施策 |
| 3. CTA(行動喚起)の改善 | 問い合わせボタンやフォームへの導線など、行動を促す仕掛けの見せ方を最適化する施策 |
| 4. リピート率の向上 | 一度訪問した(あるいは購入した)ユーザーの再訪問・再購入を促す施策 |
| 5. サイト構造・導線の改善 | 情報の見つけやすさや、ページ間を移動しやすくするための整理 |
多くの企業がサイト改善でつまずくのは、技術や知識が不足しているからではなく、この5つのうちどれを優先すべきかを決めないまま、思いついた施策から手をつけてしまうためです。次の章では、それぞれのテーマについて、よくある症状から具体的な対処法までを解説します。
テーマ別・原因の特定と具体的な対処法
「何かうまくいっていない」という感覚は既にあっても、その原因が5つのテーマのうちどれに当たるのか、そして具体的に何をすればいいのかが分からないという方が多いのではないでしょうか。ここでは、5つのテーマごとに、よくある症状からその場で原因を切り分ける方法と、今すぐ着手できる対処法を解説します。自社に当てはまる症状があるテーマから確認してください。
1. SEO(検索集客)の改善
よくある症状
自然検索からの流入が伸び悩んでいる、あるいは狙いたいキーワードで検索結果の1ページ目(10位以内)に入っていない。
原因の切り分け
Search Consoleでページ自体がほとんど表示されない場合は、そのキーワードに対する専門性・情報量がまだ不足している可能性が高いです。表示はされているが順位が11〜30位で伸び悩んでいる場合は、検索意図との一致度の甘さ(読者が知りたい比較・費用・手順などの情報が浅い)が原因であることが多く、表示回数は十分にあるのにクリック率が低い場合は、タイトル・meta descriptionが検索者の意図に応えていないサインです。
今すぐ着手できる対処
Search Consoleで「表示回数は多いがクリック率が低い」ページを抽出し、タイトルに具体的な数字(費用感・期間・件数等)を入れて、検索者が結果を想像できる書き方に変更します。順位が11〜30位で伸び悩んでいるページは、競合上位記事に共通する見出し(比較表・費用の目安・手順)が自社ページに欠けていないかを確認し、不足している見出しを1つずつ追記してください。
2. CVR改善
よくある症状
訪問者数は一定数あるのに、問い合わせ・申込みに至る割合(CVR)がBtoBサイトの目安である0.5%に届いていない、あるいはフォームの入力途中で離脱するユーザーが多い。
原因の切り分け
フォームの表示回数に対して入力開始率が低い場合は、入力項目の多さなど「入力障壁」が原因です。入力を開始したのに送信されない場合は、エラー表示の分かりにくさや入力にかかる時間の長さなど「入力中の離脱」が原因である可能性が高く、フォーム到達率自体が低い場合は、次の項で扱うCTAの見せ方に課題があります。
今すぐ着手できる対処
まず自分でフォーム入力を最後まで試し、入力項目数を数えます。6項目を超えている場合は、会社名・部署名など後から電話・メールで確認できる項目を一時的に外し、送信率の変化を1〜2週間観察してください。入力エラー時にどの項目が問題かが赤字などで明示されているかも確認し、なければ改修を検討します。
3. CTA改善
よくある症状
問い合わせボタンのクリック率が低い、あるいはフォームへの到達率自体が低い。
原因の切り分け
ファーストビュー(訪問直後に表示される範囲)内にCTAボタンが1つもない場合は「視認性」の問題です。ボタンは見える位置にあるのに文言が「送信する」「お問い合わせ」など動詞のみの場合は「訴求力」の問題である可能性が高く、ボタンをクリックしてフォームには到達しているのに送信されない場合は、前項のCVR改善で扱う入力障壁の問題です。
今すぐ着手できる対処
ボタンの文言を「動詞+得られること」の形に変えます(例:「お問い合わせ」→「今すぐ無料で相談する」)。設置場所は、ファーストビュー内と本文末尾の最低2箇所を目安にしてください。文言・配置を変えたら、A/Bテストツールで2週間程度、クリック率の変化を確認します。
4. リピート率向上
よくある症状
リピート率(再訪問・再購入等)が業種の目安である20〜30%を下回っている、あるいはそもそも計測していない。
原因の切り分け
初回訪問・購入後にメールアドレス等の接点が取れていない場合は「フォロー接点の欠如」が原因です。接点は取れているが再訪問を促す発信をしていない場合は「発信頻度の不足」、発信はしているが開封・クリックされていない場合は「訴求内容のずれ」(送っている内容が読者の関心と合っていない)が疑われます。
今すぐ着手できる対処
初回接点が取れていない場合は、問い合わせ・購入完了ページにメルマガ登録やLINE登録の導線を1つ追加します。接点はあるが発信していない場合は、月1回の更新情報配信から始めてください。開封率が低い場合は、件名に「読者が得られる具体的な情報」(料金の目安、事例の要点など)を入れる形に変えてみることをおすすめします。
5. サイト構造・導線改善
よくある症状
直帰率が70%を超えるページがある、あるいは主要ページから問い合わせページまでの経路が分かりにくい。
原因の切り分け
直帰率が高いページは、ファーストビューの内容が検索意図とずれている(前述のSEOの原因切り分けと連動する場合がある)か、次に読むべきページへの案内がないことが多い原因です。問い合わせまでの経路が分かりにくい場合は、グローバルナビゲーションの項目数が多すぎる、あるいは問い合わせボタンがフッターにしかないことが典型的な原因です。
今すぐ着手できる対処
直帰率の高いページに、関連ページへのリンクを本文中に2〜3箇所追加します。ナビゲーションは項目数を7つ以内を目安に絞り込み、問い合わせボタンはヘッダーにも常時表示させてください。主要ページから問い合わせページまでクリック2回以内で到達できるかを、実際に自分でクリックして確認します。
5つのテーマすべてに同時に手を広げると、どれも中途半端な投下量になり、結果的に何も変わらないという事態に陥りがちです。複数のテーマで同時に症状が当てはまる場合の優先順位の付け方は、次の章で解説します。
複数の課題が同時に発生しているときの優先順位
前章の5テーマを確認すると、複数の症状が同時に当てはまるケースは珍しくありません。ここでは、どのテーマから着手すべきかを判断する2つの軸と、その軸を社内での説明にそのまま使う方法を解説します。
軸1.見劣りの大きさ:前章で確認した症状のうち、目安の数値との差が大きいテーマほど、改善による伸び幅も大きくなりやすく、優先度が高くなります。
軸2.着手コスト:同じテーマでも、着手のしやすさは大きく異なります。CTAの文言変更のように数時間で試せる施策もあれば、SEOのようにコンテンツ制作や継続的な運用体制が前提になる施策もあります。
| テーマ | 着手コストの目安 |
|---|---|
| SEO(検索集客) | 高(継続的なコンテンツ制作が前提) |
| CVR改善 | 低〜中(フォーム・ページ内改修が中心) |
| CTA改善 | 低(文言・配置の変更が中心) |
| リピート率向上 | 中(メルマガ等の運用体制が前提) |
| サイト構造・導線改善 | 中(既存ページの並べ替えが中心) |
目安として、見劣りが大きく、かつ着手コストが低いテーマ(多くの場合、CTA改善やCVR改善)から着手し、小さな成果を確認したうえで、SEOのような投資型のテーマに時間をかけていくのが現実的な進め方です。見劣りの大きさと着手コストのどちらか一方だけで判断すると、「効果は大きいはずだが今のリソースでは着手できない」テーマに時間を溶かしてしまうことになるため、必ず両方を掛け合わせて判断してください。
この「見劣りの大きさ×着手コスト」という2軸は、社内で改善の実施順序を説明する際の資料としてもそのまま使えます。「なぜこの施策を先にやるのか」を聞かれた際に、感覚的な優先順位ではなく、この2軸に基づく判断であることを示せば、決裁者への説明材料になります。
サイト改善の進め方【7ステップ】
優先すべきテーマが決まったら、実際にサイト改善を進めます。テーマが何であっても、基本の流れは次の7ステップです。
ステップ1.目的を設定する
前章で見極めた優先テーマについて、「なんとなく良くしたい」ではなく、「CVRを0.3%から0.5%に高める」など、後で検証できる具体的な数値目標として言語化します。
ステップ2.現状を分析する
Google AnalyticsやSearch Consoleなどのツールを使い、アクセス数・直帰率・CVRなど、現状の数値を把握します。あわせて、競合サイトの構成や訴求内容も確認しておくと、自社の立ち位置が見えやすくなります。
ステップ3.課題を抽出する
前々章で紹介した各テーマの症状・原因の切り分けを踏まえ、自社に当てはまる課題を具体的なページ・箇所単位まで洗い出します。たとえば直帰率が70%を超えるページがあれば、そのページのファーストビューの内容が読者の期待とずれている可能性が高いと判断できます。
ステップ4.改善案を立案する
抽出した課題1つに対して、複数の改善案を出します。原因が1つだと思っても、実際には複数の切り口が考えられることが多いため、思いついた案をすぐ実行せず、いくつか出したうえで1つに絞り込むことで、後の優先順位付けの精度が上がります。
ステップ5.優先順位をつけて実行する
前章の「見劣りの大きさ×着手コスト」の考え方を使い、どの改善案から着手するかを決めます。原則として、一度に多くの施策を同時に変更せず、1つずつ実行してください。同時に複数を変更すると、後の効果検証でどの施策が効いたのか判断できなくなります。
ステップ6.効果を検証する
施策実行後、最低でも1〜2週間、可能であれば1ヶ月程度の期間を置いてから効果を確認します。曜日や季節による変動もあるため、短期間の数値だけで一喜一憂しないよう注意してください。
ステップ7.次の改善につなげる(PDCA)
効果が出た施策は他のページへの横展開を検討し、効果が出なかった施策は仮説自体を見直します。この7ステップを一度で終わらせず、繰り返し回し続けることが、サイト改善を成果につなげる前提になります。
サイト改善に役立つツール
ここで紹介するツールは、いずれも前章までの分析・検証を行う際の基本装備です。
Google Analytics(GA4)
アクセス数、直帰率、滞在時間、CVRなど、サイト全体の数値を把握する基本ツールです。まずは流入経路別に直帰率を絞り込み、特に見劣りしている経路・ページを特定することから始めてください。
Google Search Console
どの検索キーワードで、どのページが表示・クリックされているかを確認できます。表示回数は多いのにクリック率が低いキーワードがあれば、タイトル・meta descriptionの見直し候補になります。
ヒートマップツール
ユーザーがページのどこを見て、どこでクリック・離脱しているかを可視化します。ファーストビュー内でクリックが集中している箇所と、実際の導線(問い合わせボタンの位置)がずれていないかを確認してください。
A/Bテストツール
ボタンの色や文言など、改善案を2パターン用意し、実際のユーザーの反応で比較検証する際に使います。
いずれも無料プランで基本的な分析は可能です。まずはGoogle AnalyticsとSearch Consoleの2つで現状把握を行い、課題の性質に応じてヒートマップやA/Bテストツールを追加するという順番で導入するのが無理のない進め方です。
改善を重ねても成果が頭打ちになるときに見直すべきこと
ボタンの色を変える、フォームの項目を減らす、表示速度を上げる。こうした個別の施策は、それぞれ小さな改善にはつながります。しかし、ある時点から「打ち手を試しても数値がほとんど動かなくなる」という状態に陥る企業が少なくありません。
私たちがサイト改善のご相談を伺う中で気づくのは、成果が頭打ちになっている企業の多くが、個別の施策の巧拙よりも、そもそも「今、どの数値を動かすためにこの施策をやっているのか」という紐付けが曖昧なまま、思いついた手法だけを次々と回してしまっているという点です。CVR改善のためのボタン変更なのか、リピート率向上のためのメール配信なのか、その紐付けが現場で共有されないまま施策だけが積み重なると、個々の変更が互いに関係のないまま並び、全体としての成果につながりにくくなります。
これは、担当者の能力の問題ではなく、多くの場合、施策を決める前の設計段階(どの数値を、なぜ動かすのか)が省略されてしまっていることに起因します。個別の改善を積み重ねても数値が動かなくなったと感じたら、次の施策を探す前に、一度立ち止まって「今取り組んでいる施策は、5つのテーマのうちどれを、どの数値を動かすためのものか」を関係者間で確認し直すことをおすすめします。
この紐付けを整理し直すだけで、これまで積み上げてきた施策の優先順位が変わり、次に打つべき手が見えてくることは少なくありません。この整理を自社だけで行うのが難しい場合は、一度外部の視点を入れることも選択肢の一つです。
サイト改善に関するよくある質問
Q. サイト改善はどれくらいの頻度で行うべきですか?
大きな見直しは3ヶ月〜半年に1回、小さな検証(A/Bテストなど)は毎月行うのが一般的な目安です。ただし、公開直後や大きな施策変更の直後は、より短いスパンで数値を確認することをおすすめします。
Q. サイト改善にかかる費用はどのくらいですか?
自社で行う場合は、無料の分析ツールを使えばツール費用はかかりませんが、担当者の工数が継続的に発生します。外部に依頼する場合は、月額数万円〜数十万円程度のコンサルティング契約が一般的ですが、依頼する範囲(分析のみか、実装まで含むか)によって幅があります。
Q. サイト改善とサイトリニューアルはどう違いますか?
サイト改善は、既存のサイトを維持しながら部分的に見直しを重ねる取り組みです。一方リニューアルは、デザインや構造を大きく作り直すプロジェクトで、コストも期間も改善に比べて大きくなります。多くの場合、まずは改善で対応できないかを検討し、根本的な構造の限界が見えてきた段階でリニューアルを検討するという順序が無理のない進め方です。
Q. 小規模なサイトでも改善効果はありますか?
あります。むしろページ数が少ない小規模サイトほど、1ページあたりの改善が全体の数値に与える影響が大きくなる傾向があります。まずはアクセス数の多いページ、あるいは問い合わせ直前のページから着手することをおすすめします。
Q. どのテーマから手をつけても効果が出ない場合はどうすればいいですか?
複数のテーマで同時に症状が当てはまっている可能性があります。前述の「テーマ別・原因の特定と具体的な対処法」で当てはまる症状を確認したうえで、それでも変化が見えない場合は、個別の施策ではなく、どの数値を動かすための施策かという紐付けに立ち返って見直すことをおすすめします。
まとめ|症状から原因を切り分け、見劣りと実行コストの両方から優先順位を決める
サイト改善は、SEO・CVR改善・CTA改善・リピート率向上・サイト構造改善という複数のテーマにまたがる取り組みです。すべてに同時に手を広げるのではなく、各テーマの症状から原因を切り分け、見劣りの大きさと着手コストの両方を掛け合わせて優先順位を決めることが、遠回りに見えて最も確実な近道です。手順を踏んでも成果が伸び悩む場合は、個別の施策の巧拙よりも、その施策がどの数値を動かすためのものかという紐付けが曖昧になっていないかを見直してみてください。
今日からできる最初の一歩は、5つのテーマのうち自社に最も当てはまる症状を1つだけ選び、対応する原因の切り分けを試すことです。
ここまでの内容を自社だけで対応できそうか、それとも早い段階で外部の視点を入れた方が良さそうかは、原因の切り分けに要する時間や、社内に分析・実装の担当者を確保できるかによって変わります。判断に迷う、あるいは複数のテーマが同時に当てはまっていて絞り込めないという場合は、現状の数値と課題をお聞かせください。事業構造から一緒に整理し、優先順位のつけ方を具体的にご提案します。