コーポレートサイト制作の費用相場を規模・ページ数別に解説。その予算で何が実現できるかの目安から、自作と外注どちらが向いているかの判断基準、外注する場合の進め方までまとめました。
コーポレートサイト制作、結局いくらかかって何から始めればいい?
「コーポレートサイトを作ろう」と決めたものの、まず気になるのは「結局いくらかかるのか」ではないでしょうか。相場を調べてみても、数十万円という数字もあれば数百万円という数字もあり、何が違うのか分からないまま検索を続けている方も多いと思います。この記事では、規模やページ数に応じた費用相場を、その金額で実際に何が実現できるかまで踏み込んで整理したうえで、自社で作る(内製)べきか外注すべきかの判断基準、外注する場合の進め方までを、順を追って解説します。読み終える頃には、自社の場合はどのくらいの予算感で、次に何をすればいいかが見えている状態を目指します。
コーポレートサイトとは何か
コーポレートサイトとは、企業の概要・事業内容・沿革・採用情報などを掲載し、企業全体の信頼性を伝えることを目的としたWebサイトです。特定の商品やキャンペーンへの申し込みを目的とするランディングページや、商品を販売するECサイトとは異なり、取引先・求職者・投資家・一般消費者など、複数の立場の読み手に向けて情報を発信する点が特徴です。
コーポレートサイトが担う役割は、大きく4つに整理できます。
| 役割 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 信頼形成 | 会社概要・沿革・代表挨拶などで、取引先や消費者に安心感を伝える |
| 営業支援 | 事業内容・実績・導入事例を掲載し、商談前の情報収集や比較検討を後押しする |
| 採用支援 | 社員紹介や働き方の情報を掲載し、求職者の応募判断を後押しする |
| 広報・IR | ニュースリリースや、上場企業であれば投資家向けの情報を発信する |
この4つのうち、自社にとってどれが最も重要かによって、後述する掲載ページや優先すべき機能が変わってきます。次の章で、この役割を果たすためにどのくらいの費用がかかるのかを見ていきます。
コーポレートサイト制作の費用相場|規模・ページ数別の目安
コーポレートサイトの制作費用は、掲載するページ数と、デザイン・機能をどこまでオリジナルで作り込むかによって大きく変わります。目安として、4つの価格帯に分けて整理します。
| 価格帯 | 目安ページ数 | 目安の企業規模(従業員数) | 費用目安 | こんな方向け |
|---|---|---|---|---|
| ライトプラン | 〜7ページ | 10名未満 | 10万〜30万円 | まずは名刺代わりの会社情報を整えたい方向け |
| スタンダードプラン | 8〜12ページ | 11〜50名 | 30万〜80万円 | 取引先や求職者に安心して選んでもらいたい方向け |
| プロプラン | 15〜20ページ | 51〜200名 | 80万〜200万円 | 問い合わせ・採用の成果につなげたい方向け |
| エンタープライズプラン | 25ページ以上 | 201名以上 | 200万円〜 | 複数事業・IR・多言語まで含めて刷新したい方向け |
この費用の中には、主に「ディレクション(進行管理・要件整理)」「デザイン」「コーディング・CMS構築」「原稿・写真素材の準備」という4つの工程の費用が含まれています。ページ数が同じでも、オリジナルの写真撮影や動画制作、多言語対応、独自の検索機能などを追加すると、上記の目安より費用が上振れします。逆に、既存のテンプレートを活用し、原稿や写真を自社で用意できる場合は、下振れする余地があります。
公開後には、制作費とは別に月額の保守費用が発生するのが一般的です。目安として、ライトプランで0〜5,000円程度、スタンダードプランで5,000〜2万円程度、プロプラン以上で1万〜5万円程度(保守内容により幅があります)です。保守費用に何が含まれるか(サーバー代のみか、軽微な修正対応まで含むか)は、契約前に必ず確認しておきたいポイントです。
その予算で、実際に何が実現できるのか
費用相場が分かっても、「その金額で実際にどんなサイトができるのか」が見えなければ、予算を決める判断材料にはなりません。先ほどの4つの価格帯について、実現できることを具体的に整理します。
| 価格帯 | 実現イメージ(含まれることが多い要素) |
|---|---|
| ライトプラン | 既存テンプレートを活用したデザイン、トップ・会社概要・事業内容・アクセス・お問い合わせなどの基本ページ一式。CMSがない、または更新の都度制作会社に依頼する形が中心 |
| スタンダードプラン | オリジナルデザイン、WordPress等のCMS導入により自社でのテキスト更新が可能、スマートフォン最適化、基本的なSEOを意識したページ構成、ニュース・お知らせの更新機能 |
| プロプラン | 上記に加えて、事業ごとの詳細ページ、導入事例や社員インタビューなどの採用コンテンツ、写真・動画撮影、アクセス解析を前提としたページ設計 |
| エンタープライズプラン | 上記に加えて、多言語対応、IR情報の掲載、既存システムとの連携、セキュリティやアクセシビリティへの配慮を含めた設計 |
ここで注意したいのは、「ページ数さえ増やせば成果につながる」わけではないという点です。特にスタンダードプラン以上で重要になるのは、自社で更新を続けられるCMSが導入されているかどうかです。公開時点の完成度が高くても、その後まったく更新されないサイトは、情報の鮮度という観点で信頼を損ねやすくなります。次の章では、そもそもこの制作を自社で行うべきか、外注すべきかを判断する基準を見ていきます。
自作(内製)と外注、どちらが向いているか
コーポレートサイトは、専門知識があれば自社で作ることも可能です。ただし、内製と外注のどちらが向いているかは、単純に「予算があるかないか」だけでは判断できません。それぞれのメリット・デメリットを整理します。
| 選択肢 | メリット | デメリット | こんな方向け |
|---|---|---|---|
| 内製(自作) | 外部への支払いが発生しない、修正のたびに費用がかからない、社内にノウハウが残る | 担当者の本来業務を圧迫する、デザイン・SEOの専門知識が不足しがちで品質にばらつきが出やすい | 社内に更新・デザインの担当リソースを確保できる方向け |
| 外注 | 専門的な知見に基づいた設計・デザインが期待できる、担当者の工数負担が少ない | 制作費用が発生する、依頼先とのコミュニケーションコストがかかる | 本来業務と並行して進めたい方、専門的な品質を求める方向け |
判断に迷う場合は、内製にかかる「見えないコスト」を具体的な数値で試算してみると、比較がしやすくなります。たとえば、担当者が本来業務と並行してコーポレートサイトを内製する場合を仮定してみます。
前提条件
・要件整理と原稿作成:20時間
・デザイン:30時間
・CMS構築(WordPress等の設定・組み込み):40時間
・写真素材の準備:10時間
・担当者の実質時給換算:3,000円と仮定
| 項目 | 時間・数量 | 金額 |
|---|---|---|
| 作業工数(合計100時間) | 100時間×3,000円 | 300,000円 |
| 有料WordPressテーマ | 1式 | 20,000円 |
| ドメイン・サーバー(年間) | 1式 | 15,000円 |
| 合計 | ― | 335,000円 |
この試算では、内製にかかる実質的なコストは約33.5万円となり、先ほどのスタンダードプラン(30万〜80万円)の下限に近い水準です。つまり、担当者の工数を金額に換算すると、内製と外注の費用差は思ったほど大きくない場合があります。ここに、内製の場合は本来業務が20〜30時間分圧迫されること、デザイン・SEOの専門知識がない場合は品質にばらつきが出やすいことを加味して、最終的にどちらを選ぶかを判断することをおすすめします。外注を選ぶ場合は、次の章で進め方を確認してください。
外注する場合の進め方
依頼から公開まで、実務上は次の7つの手順で進みます。順番通りに進めることで、見積もりの精度や打ち合わせのスムーズさが変わってきます。
1. 目的とターゲットを言葉にする
「誰に」「何を伝えて」「どう行動してほしいか」を1文にまとめておきます。この整理があるかどうかで、後の制作会社からの提案の的確さが変わります。
2. 掲載したいページをリストアップする
会社概要、事業内容、採用情報など、必要なページを洗い出しておきます。前章の価格帯表を参考に、自社が目指す価格帯のページ数と照らし合わせておくと、見積もり依頼の際の認識のズレを防げます。
3. 予算感を先に伝える準備をする
「予算を伝えると高く見積もられるのでは」と考える方もいますが、予算を伏せたまま相談すると、制作会社は標準プランで提案せざるを得ず、結果的に予算に対して過剰、または不足した提案になりやすくなります。
4. 複数社に同じ条件で問い合わせる
手順2・3で整理した内容を複数社に同じ形で伝え、見積もりを依頼します。条件を揃えることで、提案内容そのものを比較しやすくなります。
5. 提案内容を比較する
金額だけでなく、提案の具体性(自社の課題にどこまで踏み込んで言及しているか)も比較します。詳しい比較の視点は次の章で解説します。
6. 契約前に確認事項をチェックする
修正回数と追加費用が発生する条件、ドメイン・サーバーの契約名義を自社にできるか、保守費用に何が含まれるかを、契約書や発注書で確認します。特にドメインの名義が制作会社のままだと、将来的に依頼先を変更する際の移管手続きに時間がかかることがあるため、名義は自社にしておくことをおすすめします。
7. 制作〜公開
要件定義からデザイン、コーディング、確認・修正を経て公開に至ります。目安として、コーポレートサイト規模で公開まで2〜3ヶ月、要件が複雑な場合は4〜6ヶ月程度かかることが多く、この目安より極端に短い提案を受けた場合は、確認・修正の回数に制約がかかっていないかを確認しておくと安心です。
依頼先を比較するときに見るべき視点
複数社から見積もりが揃ったら、金額の大小だけでなく、次の3点を確認してみてください。
| 比較の視点 | 確認方法 |
|---|---|
| 提案の具体性 | 自社のページ名や課題への具体的な言及が提案書にどれだけあるか |
| 実績の近さ | 件数の多さより、自社と近い業種・規模・目的の実績があるか |
| 保守・運用体制 | 公開後の担当窓口や、更新サポートの範囲が明確か |
費用を抑える方法と、抑えすぎに注意したい点
予算を抑えたい場合、次のような工夫が有効です。
| 方法 | 効果が生まれる理由 |
|---|---|
| 依頼前の準備を丁寧にする | 原稿・写真をあらかじめ用意しておくことで、制作会社側のヒアリング・素材収集の工数を減らせる |
| CMSで自社更新できる範囲を広げる | 公開後の軽微な修正を制作会社に都度依頼せずに済み、保守費用を抑えられる |
| 公的な支援制度を確認する | 年度によっては「中小企業デジタル化・AI導入支援事業」(旧IT導入補助金、中小機構が実施)などの制度が利用できる場合がある。ただし対象となる範囲は年度・スキームによって変わり、ホームページ制作単体では対象外とされる回もあるため、公式サイト(it-shien.smrj.go.jp)で最新の公募要領を必ず確認してください |
一方で、費用を抑えることを優先しすぎると、かえって遠回りになるケースもあります。たとえば、掲載ページを削りすぎて採用情報や事業実績が十分に伝わらなくなると、本来の目的(信頼形成・採用支援)を果たせず、結局リニューアルの時期が早まってしまうことがあります。また、2024年4月には改正障害者差別解消法により民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されており、文字サイズの調整やキーボード操作への対応など、アクセシビリティへの配慮は今後さらに重要になっていくと考えられます。目先の費用だけでなく、数年単位で使い続けることを前提に、削ってよい部分とそうでない部分を見極めることをおすすめします。なお、CMSとして広く使われているWordPress本体はGPLv2ライセンスの無料オープンソースソフトウェアであり、テーマやプラグインの選び方次第で、費用を抑えながら更新性の高いサイトを構築することも可能です。
公開後の成果を左右する視点
ここまでのポイントは、いずれも「良いサイトを作れるか」を見極めるためのものです。ただし、公開後に実際の成果(問い合わせ数、採用応募数など)につながるかどうかは、また別の観点が関わってきます。
複数の企業のマーケティング支援に携わる中で感じるのは、デザインの見た目以上に、情報がどのような順番で、どのような構造で並んでいるかが、読み手の理解のしやすさを大きく左右するということです。ページ数を増やして情報量を確保しても、読み手が今どこにいて、次に何を見ればいいかが分かりにくい構造になっていれば、かえって離脱を招いてしまいます。制作会社を選ぶ際は、デザインの見た目だけでなく、情報設計そのものにどこまで踏み込んで提案してくれるかを見ておくと、公開後の成果につながりやすくなります。
具体的には、次の3点を契約前に質問してみることをおすすめします。
| 質問 | 確認したいこと |
|---|---|
| 掲載する情報の優先順位について、どんな考え方で整理を提案してくれるか | デザイン以前の情報設計への理解度 |
| 公開後、アクセス解析のレポートは定期的に提供されるか | 公開後の関与が保守だけか改善提案まで含むか |
| ページ数や機能を追加したくなった場合、どこまで柔軟に対応できるか | 事業の変化に合わせた拡張のしやすさ |
自社の状況に当てはめて予算感や進め方を整理してみたい場合は、お問い合わせフォームから目的や規模感を踏まえたご相談も承っています。
よくある質問
Q. コーポレートサイトとホームページの違いは何ですか?
「ホームページ」は本来Webサイト全体を指す言葉として使われることが多く、その中でも企業の概要・事業内容を中心に、取引先や求職者など複数の立場に向けて情報発信するものを「コーポレートサイト」と呼びます。ランディングページのように特定の商品・キャンペーンへの申し込みのみを目的としたページとは、掲載する情報の幅が異なります。
Q. 制作期間はどのくらいを見ておけばいいですか?
要件定義から公開まで、コーポレートサイト規模で2〜3ヶ月、要件が複雑な場合は4〜6ヶ月程度が目安です。
Q. 自分たちだけで制作することは可能ですか?
WordPressなどのCMSと市販テンプレートを使えば、専門知識がなくても一定水準のサイトを自作することは可能です。ただし、デザインやSEOの品質にばらつきが出やすく、担当者の本来業務を圧迫する点には注意が必要です。判断に迷う場合は、前述の内製・外注の比較を参考にしてください。
Q. リニューアルの場合、新規制作と費用は変わりますか?
既存のコンテンツや写真素材を再利用できる場合は、原稿・素材準備の工数が減る分、新規制作よりやや抑えられる傾向があります。一方で、既存のCMSからの移行作業や、蓄積されたページ数が多い場合はその分の設計・移行工数が加わるため、一概にどちらが安いとは言えません。見積もり依頼の際に、既存サイトのURL構造をそのまま維持したいかどうかも伝えておくと、より精度の高い見積もりが得られます。
Q. 補助金は使えますか?
年度によっては、中小企業デジタル化・AI導入支援事業(旧IT導入補助金、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施)などの公的支援制度の対象になる場合がありますが、対象となる経費の範囲は年度・スキームによって変わります。執筆時点の情報のため、最新の公募要領は公式サイトでご確認ください。
まとめ
コーポレートサイト制作の費用は、ページ数と作り込みの度合いによって大きく変わりますが、大切なのは金額の大小そのものより、その予算で自社が本当に実現したいこと(信頼形成なのか、採用強化なのか、問い合わせ獲得なのか)が実現できるかどうかです。内製と外注のどちらを選ぶ場合も、まずは掲載したいページと目的を言葉にしてみることから始めてみてください。そこが整理できていれば、次に何をすべきかは自然と見えてくるはずです。