Webマーケティングとは何か、SEOやSNS広告など代表的な施策の特徴を整理した上で、限られた予算・体制でも成果につなげるための始め方・優先順位の付け方を解説します。
Webマーケティング、何から手をつければいい?
「Webマーケティングって、結局何をすることなんだろう」「SNSも広告も聞いたことはあるけれど、自社は何から手をつければいいのか分からない」。担当を任されたばかりの方や、これまで何となく個別の施策に手を出してきたものの、全体像を整理できていない方であれば、一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、Webマーケティングの定義と代表的な施策の種類を整理したうえで、自社の目的や予算・体制に合わせて実際にどう絞り込むかを、仮の条件を使って最後まで計算しながら解説します。あわせて、自社で行うべきか外部に依頼すべきかの判断軸まで、今日から使える形でお伝えします。
Webマーケティングとは何か
Webマーケティングとは、Webサイトやインターネット上のサービスを使って、見込み客との接点をつくり、興味を持ってもらい、問い合わせや購入といった行動につなげるための一連の活動を指します。広告の出稿だけを指す言葉ではなく、検索エンジン経由の集客、SNSでの発信、メールでのフォローアップなど、複数の手段を組み合わせて行う活動全体を含みます。
「デジタルマーケティング」という言葉と混同されることもありますが、デジタルマーケティングはWeb以外の領域(アプリ、デジタルサイネージ、IoTデバイスなど)も含む、より広い概念です。Webマーケティングはその中でも「Web」という領域に絞った活動と捉えると整理しやすくなります。実務上は、中小企業であればWebマーケティングとデジタルマーケティングをほぼ同じ意味で使っても支障がないケースが大半ですが、言葉の範囲を知っておくと、外部の会社とやり取りする際の認識のずれを防ぎやすくなります。
Webマーケティングの主な施策8種
Webマーケティングと一口に言っても、その中身は多岐にわたります。まずは代表的な8つの施策を、それぞれの特徴・効果が出るまでの目安期間・向いている目的とあわせて早見表で確認してください。
| 施策 | 特徴 | 効果までの目安 | こんな目的の方向け |
|---|---|---|---|
| SEO(コンテンツ・オウンドメディア) | 検索エンジンからの自然流入を狙う | 3〜6ヶ月〜 | 中長期で問い合わせを増やしたい方向け |
| リスティング広告 | 検索結果に広告を表示する | 即時 | 今すぐ確実に流入・問い合わせが欲しい方向け |
| SNS広告 | SNS上のターゲティング広告 | 即時〜数週間 | 短期間で幅広く認知を広げたい方向け |
| SNS運用(オーガニック発信) | 広告費をかけない日常的な発信 | 3ヶ月〜 | ファンとの関係を長く育てたい方向け |
| メールマーケティング | 既存接点への継続的な情報発信 | 1〜3ヶ月 | 接点のある見込み客を育てたい方向け |
| 動画マーケティング | 動画プラットフォームでの情報発信 | 3ヶ月〜 | 複雑な内容を分かりやすく伝えたい方向け |
| アフィリエイト広告 | 成果報酬型で第三者に紹介してもらう | 即時〜数週間 | 初期費用を抑えて成果に応じて投資したい方向け |
| MA・CRM活用 | 見込み客の育成・管理を仕組み化する | 3〜6ヶ月〜 | ある程度の見込み客数を効率よく育てたい方向け |
SEO(コンテンツ・オウンドメディア対策)
検索エンジンで特定のキーワードが検索されたときに、自社のサイトやブログ記事が上位に表示されるよう対策する施策です。読者が能動的に情報を探しているタイミングで接触できるため、他の施策に比べて「今まさに情報を必要としている人」に届きやすいという特徴があります。
一度上位表示されれば広告費をかけずに継続的な流入を得られる中長期の資産になりますが、効果が出るまでに時間がかかり、競合性の高いキーワードほど上位表示の難易度は上がります。検索エンジンのアルゴリズム変更によって、順位が変動するリスクも常にあります。
効果が出るまでの目安は3〜6ヶ月からで、中長期的に問い合わせを増やしたい方に向いています。最初の一歩としては、月間検索ボリューム300〜1,000程度の、自社が答えられる質問に近いキーワードを1つ選び、読者の疑問に具体的に答える記事を1本書いてみることをおすすめします。
リスティング広告
検索結果の上部・下部に表示される、検索連動型の広告です。出稿してすぐに検索結果に表示されるため、SEOのように成果が出るまで待つ必要がありません。
予算をかけた分だけ確実に流入をコントロールできる即効性が最大のメリットですが、広告出稿を止めれば流入も止まるため、SEOのように資産として蓄積されない点がデメリットです。継続的に予算を確保できないと、他の施策が育つ前に打ち切らざるを得なくなることもあります。
効果は出稿直後から表れ、今すぐ確実に問い合わせを増やしたい方に向いています。最初の一歩としては、最も成約につながりやすい1つのキーワード群に絞って少額から出稿し、費用対効果を見ながら拡大するかどうかを判断するとよいでしょう。
SNS広告
X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどのプラットフォーム上で配信するターゲティング広告です。年齢・興味関心などの条件で配信対象を絞り込める点が特徴です。
検索広告と異なり、まだ自社を知らない層にも能動的にリーチできる点がメリットですが、検索広告に比べると、すでに顕在化しているニーズへの直接的な訴求力はやや弱くなります。プラットフォームのアルゴリズムやユーザー動向の変化によって、費用対効果が変動しやすい点にも注意が必要です。
効果は配信直後から数週間で表れ、短期間で幅広く認知を広げたい方に向いています。最初の一歩としては、既存の顧客データや過去の問い合わせ内容から想定顧客像を1つ具体化し、その像に近い条件で少額配信してみることから始めるとよいでしょう。
SNS運用(オーガニック発信)
広告費をかけず、日常的な投稿を通じてフォロワーとの関係を築いていく施策です。担当者や会社の人となりが伝わりやすく、検索エンジンを介さずに直接読者へ情報を届けられます。
広告費がかからず即時に始められる手軽さがメリットですが、フォロワーが少ない立ち上げ期は効果が限定的で、継続的な運用が前提になります。目に見える成果が出るまでに時間がかかりやすく、担当者の負担が大きくなりがちな点もデメリットです。
効果が出るまでの目安は3ヶ月からで、ファンとの関係を長く育てたい方に向いています。最初の一歩としては、投稿の頻度と担当者を先に決め、無理なく続けられるペースで始めることをおすすめします。
メールマーケティング
名刺交換をした相手や既存顧客など、すでに接点のある相手に対して、有益な情報を継続的に届ける施策です。新規の読者を開拓する施策ではなく、接点のある相手との関係を維持・強化するための施策です。
新規獲得ではなく、既に接点のある相手の再来訪や検討の後押しに強みがありますが、新規の読者層には届かないという性質上、単独では集客の入り口にはなりません。配信リストが育っていない立ち上げ初期は、効果を実感しにくい点にも注意が必要です。
効果が出るまでの目安は1〜3ヶ月で、接点のある見込み客を育てたい方に向いています。最初の一歩としては、既存の名刺・問い合わせリストを配信リストとして整理し、月1回程度の情報発信から始めるとよいでしょう。
動画マーケティング
YouTubeなどの動画プラットフォームを使い、テキストとは異なる層にリーチする施策です。テキストを読む習慣が薄い層や、視覚的な説明が必要な複雑なサービスの理解を促すのに向いています。
テキストでは届きにくい層にリーチでき、記事への埋め込みでSEO効果を補強できる一方、撮影・編集にかかる制作コストが他の施策より高くなります。継続的な投稿が必要な点は、SNS運用と同様の負担になります。
効果が出るまでの目安は3ヶ月からで、複雑な内容を分かりやすく伝えたい方に向いています。最初の一歩としては、既存記事の中でも反応の良いテーマを1つ選び、その内容を要約した短い動画から着手すると、ゼロから企画するより失敗しにくくなります。
アフィリエイト広告
第三者のメディアやインフルエンサーに自社の商品・サービスを紹介してもらい、成果が発生した分だけ報酬を支払う施策です。掲載自体には広告費がかからず、成果に応じた投資になります。
初期費用を抑えながら成果に応じて投資できる点がメリットですが、紹介する側のコントロールが効きにくく、自社が意図しない見せ方で紹介されるリスクもあります。効果的な提携先を見つけるまでに時間がかかることもあります。
効果は提携先が決まれば即時〜数週間で表れ、初期費用を抑えて成果に応じて投資したい方に向いています。最初の一歩としては、自社の商品・サービスと親和性の高い発信者を数件リストアップし、条件を提示してみることから始めるとよいでしょう。
MA・CRM活用
MA(マーケティングオートメーション)やCRM(顧客関係管理)ツールを使い、見込み客一人ひとりの状態に合わせた情報発信・育成を仕組み化する施策です。問い合わせ後の追客や、検討期間が長い商材のフォローに向いています。
手作業では追いきれない数の見込み客を、条件に応じて自動的にフォローできる点がメリットですが、導入・運用にはある程度の見込み客数と、ツールを使いこなす体制が必要です。見込み客数が少ない段階で導入しても、効果を実感しにくい点がデメリットです。
効果が出るまでの目安は3〜6ヶ月からで、ある程度の見込み客数を効率よく育てたい方に向いています。最初の一歩としては、まず既存の問い合わせ・商談履歴を一箇所に整理することから始め、ツール導入はその後で検討しても遅くありません。
目的×リソースで考える、自社が最初にやるべき施策の決め方
ここまで紹介した8つの施策を、すべて同時に始める必要はありません。むしろ、限られた予算と人員の中で複数の施策に同時に手を広げると、どれも中途半端な結果に終わりやすくなります。ここでは、目的とリソースという2つの軸から、自社が最初にやるべき施策を絞り込む考え方を、実際の数字を使いながら解説します。
ステップ1.目的を1つ決める
まず、今回のWebマーケティングで最優先したい目的を1つに決めます。「認知を広げたい」のか「今すぐ問い合わせを増やしたい」のかによって、優先すべき施策は大きく変わります。次の早見表を参考にしてください。
| 目的 | 相性の良い施策 |
|---|---|
| 認知を広げたい | SNS広告、SNS運用、動画マーケティング |
| 今すぐ問い合わせを増やしたい | リスティング広告、SEO、MA・CRM活用 |
| 接点のある見込み客を育てたい | メールマーケティング、MA・CRM活用 |
ステップ2.自社のリソース(予算・体制)を把握する
目的が決まったら、次に自社が投下できる予算と人員を確認します。専任担当者がいるのか兼任なのか、月々の予算はどの程度確保できるのかによって、同じ目的でも選ぶべき施策は変わります。たとえば「問い合わせを増やしたい」という目的でも、専任担当者がおらず記事執筆の工数が確保できない場合、SEOだけに頼る計画は現実的ではありません。
ステップ3.実際に組み合わせを決めてみる(試算例)
ここでは、次のような条件を仮定して、実際に施策を絞り込んでみます。
- 業種:BtoB向け金属加工業(従業員20名)
- Web担当:他業務と兼任で1名
- 目的:問い合わせ(引き合い)の増加
- 月の予算:広告費として10万円程度
- 現状:コーポレートサイトはあるが更新は年数回程度
目的が「問い合わせ増加」なので、ステップ1の早見表に沿うと候補はリスティング広告、SEO、MA・CRM活用の3つです。ここでリソースを確認すると、専任担当者がおらず記事執筆に十分な工数が割けないため、SEOだけに全面的に頼る計画は難易度が高いと判断できます。一方、リスティング広告は担当者の工数をあまり必要とせず、月10万円の予算内で開始できます。そこで、即効性のあるリスティング広告を軸に据えつつ、余力の範囲でSEOを並行するという組み合わせを考えます。
| 施策 | 月間の配分 |
|---|---|
| リスティング広告 | 8万円 |
| SEO記事制作(工数費換算) | 2万円相当(月1〜2本) |
| 合計 | 10万円 |
8万円と2万円を合わせて10万円となり、当初の予算内に収まっていることが確認できます。この組み合わせであれば、リスティング広告によって開始直後から問い合わせ数の増加を狙いながら、SEO記事は3〜6ヶ月後から中長期的に問い合わせの流入経路を増やす土台として育っていく、という2段構えの見通しを立てられます。専任担当者を確保できない場合、SEO記事制作の部分は外部に依頼する選択肢も検討に値します(次の章で解説します)。
一気に手を広げすぎないための注意点
目的とリソースを整理すると、つい「あれもこれも」と施策数を増やしたくなりますが、限られた人員・予算で3つ以上の施策を同時に始めると、どれも更新が滞り、効果検証も曖昧になりがちです。まずは1〜2つの施策に絞って3ヶ月程度運用し、成果と負荷を見極めてから次の施策に着手する方が、遠回りに見えて確実に前進できます。
自社でやるか、外部に依頼するか
施策と優先順位が決まっても、それをすべて自社の人員で実行できるとは限りません。ここでは、内製と外部委託、それぞれが向いているケースを整理します。
内製が向いているケース
担当者に一定の稼働時間を確保できる場合、あるいは自社の商品・サービスへの理解の深さが成果に直結する施策(SNS運用や、専門性の高いSEO記事の一部など)の場合は、内製が向いています。特にSNS運用は、社内の人となりや日々の雰囲気が伝わることが強みになる施策のため、外部に依頼するよりも自社で発信を続ける方が効果を発揮しやすい傾向があります。
外部委託が向いているケース
専任担当者を置けない、あるいは効果検証や運用改善に専門的な知見が必要な施策(リスティング広告の運用、SEO記事の継続的な制作など)は、外部委託が向いています。特に、前章の試算例のように専任担当者が確保できない状況では、まず即効性のある施策を内製または外部委託で立ち上げつつ、中長期の施策(SEO記事制作など)を外部に任せることで、社内の負担を抑えながら複数の施策を並行させやすくなります。
依頼する場合に確認しておきたい3つの観点
外部への依頼を検討する場合は、次の3点を確認しておくと、依頼後のミスマッチを防ぎやすくなります。
- 自社の目的(認知拡大か問い合わせ獲得か)を理解した上で、施策の提案をしてくれるか
- 施策ごとの効果測定の方法と、その頻度をあらかじめ示してくれるか
- 費用の内訳(施策の実行費用と、運用・改善にかかる費用が分かれているか)が明確か
Webマーケティングを進める上での注意点・成功のポイント
ここまでの内容を踏まえたうえで、Webマーケティングを継続的に成果へつなげるために意識しておきたい点を整理します。
まず、施策は一度始めたら終わりではなく、効果測定と改善を繰り返す前提で計画してください。特にSEOやSNS運用のように効果が出るまで時間がかかる施策は、開始から1〜2ヶ月で成果が見えないからといって中断すると、それまでの投資が積み上がらないまま終わってしまいます。
次に、PVやフォロワー数といった「見えやすい数字」だけでなく、それが最終的に問い合わせや商談にどうつながっているかまで、定点観測する習慣を持つことが重要です。
Webマーケティングのご相談で最初にお伺いするのは、たいてい施策の名前ではなく「何のためにやりたいか」です。この順番を後回しにしたまま流行りの施策から手をつけると、数ヶ月後に「何のためにやっているのか分からなくなった」という状態に陥りやすくなります。
施策を選ぶ段階で立ち止まって目的を言語化する時間は、遠回りのように感じられるかもしれませんが、後々の判断のぶれを防ぐための、最も費用対効果の高い投資だと言えます。
Webマーケティングに関するよくある質問
Q. Webマーケティングとデジタルマーケティングは何が違いますか?
デジタルマーケティングはアプリやデジタルサイネージなどWeb以外の領域も含む広い概念で、Webマーケティングはその中の「Web」領域に絞った活動です。中小企業の実務では、ほぼ同じ意味で使っても支障がないケースが大半です。
Q. Webマーケティングにはどのくらいの予算が必要ですか?
選ぶ施策によって幅がありますが、リスティング広告やSNS広告であれば月数万円からでも開始でき、SEOは広告費こそかからないものの記事制作の工数(内製の人件費、または外部委託費)が必要になります。まずは月10万円程度を目安に、1〜2つの施策から始めることをおすすめします。
Q. 専任の担当者がいなくても始められますか?
可能です。ただし、複数の施策を同時に始めるのではなく、兼任でも運用しやすい施策(リスティング広告など)を軸に据え、工数がかかる施策(SEO記事制作等)は外部委託を検討するといった組み合わせが現実的です。
Q. どの施策から始めれば失敗しにくいですか?
本記事の「目的×リソースで考える施策の決め方」で紹介した通り、まず目的を1つに絞り、自社のリソースに見合った施策を1〜2つ選ぶことが、失敗を避ける最も確実な方法です。施策の数を増やすことよりも、1つを軌道に乗せることを優先してください。
Q. 効果測定にはどんなツールが必要ですか?
まずはWebサイトへのアクセス状況を確認できる解析ツール(Googleアナリティクス等)があれば、多くの施策の基本的な効果測定は可能です。見込み客の育成まで仕組み化したい段階になって初めて、MA・CRMツールの導入を検討するとよいでしょう。
まとめ
Webマーケティングは、SEOやリスティング広告、SNS、メールなど複数の施策の総称であり、どれか1つが正解というものではありません。大切なのは、施策の種類を知ることそのものではなく、自社の目的とリソースに照らして、今何から着手すべきかを判断できる状態になることです。これから始める方は目的を1つ決めることから、すでに何らかの施策に取り組んでいる方は、その施策が目的と噛み合っているかを見直すことから始めてみてください。自社での実行が難しいと感じた部分は、無理に抱え込まず、外部への相談も選択肢の一つとして検討してみてください。